タイトル |
連続遠心分離法を用いた土壌懸濁物質の粒径別ダイオキシン類濃度の測定 |
担当機関 |
(独)農業環境技術研究所 |
研究期間 |
2000~2002 |
研究担当者 |
菅原和夫
牧野知之
櫻井泰弘
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発行年度 |
2002 |
要約 |
連続遠心分離により土壌懸濁物質(SS)を粒径別に分け,粒径別SSのダイオキシン類濃度を測定した。 灰色低地土および黄色土では粒径が小さくなるとともにダイオキシン類濃度が低下するが,黒ボク土では,逆に高くなる。
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背景・ねらい |
代掻き時または増水時には,水田から濁った水が流出する。この濁り水の主体である懸濁物質(SS)には,水田除草剤由来のダイオキシン類が含まれていることがあり,その流出に伴う環境への影響が懸念されている。水田からの流出量と流出後の動態には,土壌粒子の粒径が密接に関係する。しかし,土壌を粒径別に分取することは困難である。そこで,連続遠心分離法を改良し土壌を粒径別に迅速・大量に分取するシステムを開発し,粒径別SSのダイオキシン類濃度を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 分離システムは送液部(ペリスタポンプ),脈流防止部(バッファー溜め),分離部(連続遠心ローター)およびサンプル受け器より構成され,分離される粒径はペリスタポンプによる送液速度および連続遠心ローターの回転速度によって決まる(表1)。本法によりSSを250ml/分の速度で粒径別に分けることが可能である。
- 本法で分離された0.6μm以下および0.2μm以下の粒径は,レーザー散乱法による粒径測定(平均粒子径を直接測定する方法)により,ほぼ正しいことが確認された。
- 本法で粒径1μm以下として分別される部分には、レーザー散乱法による測定では,約9μmにもピ-クが認められる(図2-1)。この9μmピークは過酸化水素処理で消滅するので(図2-2)、1μm以下の粒子が有機物または水と会合したフロック状粒子であると考えられる。このように,本法は土壌粒子径を沈降速度の違いによって分別するため,密度の低いフロック状粒子が存在する場合,レーザー散乱で測定した実際の粒径と異なる場合がある。
- 粒径別SSのダイオキシン類濃度は土壌間で異なり,灰色低地土および黄色土では3μm粒子部分で高く,粒径が小さくなると濃度は低下した。黒ボク土では粒径が小さくなるほどダイオキシン類濃度は高くなる(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 連続遠心分離法は水田の濁り水に加え,河川・湖沼・海底などの底泥の粒径別分離にも適用できる。
- 遠心分離ローターの回転数を上げてほぼ全てのSSを沈降させることにより,水溶態ダイオキシン類等を測定できる。
- フロック状粒子の生成と粒径別ダイオキシン類濃度との関係は今後明らかにする必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
除草剤
水田
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