タイトル |
PCR-Luminex法を用いてイネいもち病菌のMBI-D剤耐性菌を遺伝子診断する |
担当機関 |
(独)農業環境技術研究所 |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
石井英夫
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発行年度 |
2003 |
要約 |
イネいもち病菌のシタロン脱水酵素阻害剤(MBI-D剤)耐性菌は,シタロン脱水酵素遺伝子の1塩基変異をPCR-Luminex法で解析することにより,多検体の中から迅速に検出することができる。
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背景・ねらい |
イネいもち病防除薬剤として全国で広く使用されるシタロン脱水酵素阻害剤(MBI-D剤)に,最近西日本でいもち病菌の耐性菌が出現し問題となっている。この薬剤耐性はシタロン脱水酵素遺伝子のコドン75におけるGTG(推定アミノ酸バリン)からATG(同メチオニン)への1塩基変異によって起こることが知られている(角ら,2003)。そこで,最近開発されたPCR-Luminex法を用いて,耐性菌の迅速かつ多検体処理が可能な遺伝子診断法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- イネいもち病菌のシタロン脱水酵素遺伝子のMBI-D剤耐性型(変異型ATG)または感受性型(野生型GTG)配列を含む2種のDNAオリゴプローブを設計,合成し,予め蛍光ビーズに固定する。次いで,いもち病菌より標識プライマーを用いてPCR増幅したシタロン脱水酵素遺伝子を熱変性後,ビーズとハイブリダイズさせてLuminexシステム(日立ソフトウェアエンジニアリング(株))により解析する(図1)。なお,PCRプライマーは産物の長さがハイブリダイゼーションに最適なサイズとなるように設計,合成する。
- PCR-Luminex法の適用により,イネいもち病菌のシタロン脱水酵素遺伝子におけるMBI-D剤耐性変異を特異的に検出することができる(図2)。
- この方法は従来法に比べて,制限酵素処理や電気泳動,エチルブロマイドによる電気泳動ゲルの染色などの煩雑な操作を必要とせず,簡便で作業の安全性や快適性が高い。また,正確かつ短時間に結果を判定することができるほか,96穴のマイクロプレートを使用するので多検体処理(ハイスループット)が可能である。
- PCR-Luminex法の農業分野への適用は今回が初めてである。
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成果の活用面・留意点 |
- PCR-Luminex法は新しい遺伝子多型判別法としての汎用性も高く,他分野への応用も十分可能であるが,これを用いるためにはLuminexシステムの購入が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
大豆
耐性菌
防除
薬剤
薬剤耐性
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