チャノコカクモンハマキの性フェロモン構成成分比の地理的変異

タイトル チャノコカクモンハマキの性フェロモン構成成分比の地理的変異
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 野口 浩
杉江 元
発行年度 2003
背景・ねらい チャノコカクモンハマキの放出する性フェロモンは,(Z)-9-tetradecenyl acetate (Z9-TDA):(Z)-11-tetradecenyl acetate(Z11-TDA):E11-TDA:10-methyl dodecyl acetate63:31:4:2の混合物であり,これに雄が反応して種を維持している。本種の近縁種は数が多く,同じ物質を性フェロモン成分として使用し共存しているため,その成分比が種の隔離に非常に重要な働きをしている。しかし,各地から採集した本種の性フェロモンの成分比は,主成分のZ9-TDAとZ11-TDAの比率が異なっていた。種を維持する上で不利と思われるこの地理的変異の実態を,個体ごとに性フェロモンを測定することによって明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 採集した同一個体群内では性フェロモンの成分比は安定しており,飼育温度,世代数,日令などにより変化しない。
  2. 性フェロモンの組成は,関東,九州地方ではZ11-TDAの比率(平均値)が低く,東海,近畿地方では高い傾向にあり,中国,四国地方ではばらついており(図1),地理的変異がある。
  3. 各地におけるZ11-TDAの比率の分布には,本種の性フェロモンとして報告されているように分布が低い方に偏っている例(図2の左列),高い方に偏っている例(右列),中間的な例(中央列)がある。広島県世羅町と三和町などでは二山型の分布となり,Z11-TDAの比率の異なる個体群が共存している可能性が示唆される。
  4. Z11-TDAの比率が異なる入間市,島田市,四日市市(図2上段)から得られた雌,および性フェロモンの構造決定に使用した累代飼育系統の雌を誘引源に用いて,これら3地域で誘引試験を行った。各試験地において雄の誘引数が最も多かったのは,当該試験地から得られた雌を用いた場合であり,雄の反応性はその地域の雌の放出する性フェロモンの成分比に同調していると考えられる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. チャノコカクモンハマキの性フェロモンには地理的変異があるものの,合成性フェロモン剤は発生予察用に使用できる。しかし,その誘引性に地域的な違いが生じる可能性があり,地域間での誘殺数の比較には注意が必要である。
図表1 225367-1.png
図表2 225367-2.png
図表3 225367-3.png
カテゴリ 性フェロモン ばら

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