農作物中の殺虫剤イミダクロプリドは簡易かつ迅速に分析できる

タイトル 農作物中の殺虫剤イミダクロプリドは簡易かつ迅速に分析できる
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間 2003~2005
研究担当者 荒尾知人
渡辺栄喜
馬場浩司
殷 熙洙
発行年度 2004
要約 市販のイムノアッセイキットを用い,農作物中の残留イミダクロプリドを従来の機器分析法より迅速かつ簡便に測定できる。大型の分析機器を必要としないことから,生産,流通現場におけるスクリーニング法として有用な分析法である。
背景・ねらい 国民の食の安全性に対する関心の高まりと共に,農作物や加工食品中の残留農薬のレベル把握が緊要の課題となっている。従来から残留農薬測定には機器による分析が行われている。しかしながら,農作物の収穫から出荷までの流通を円滑に行うためには,短時間に農薬の残留量を把握しなければならない。それ故,簡便且つ迅速な残留農薬の評価法が求められているが,測定前に煩雑な精製が必要となる従来の測定法では,充分に対応ができない。そこで,近年開発され使用頻度の高い殺虫剤であるイミダクロプリドの検出用に市販されているイムノアッセイキットを農作物残留分析へ応用させるために必要とされる,簡易抽出法,夾雑物の抗原-抗体反応への影響評価,高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とのバリデーションを実施する。
成果の内容・特徴
  1. 本研究に用いた市販の殺虫剤イミダクロプリド測定用イムノアッセイキットの測定感度は,各農作物に対して設定された基準値レベルを測定する上で,充分なものである(図1)。
  2. 測定前の処理は,メタノールによる抽出と抽出液のろ過及び水による希釈のみであり,極めて簡便である(図2)。
  3. 農作物からの抽出操作は,手で3~5分間,振とうするのみでほぼ定量的にイミダクロプリドを抽出できる(表1)。
  4. イムノアッセイと高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で得たそれぞれの測定値の間には,高い相関関係があり,本法による測定値は高い信頼性を持つ(図3)。
  5. キット1式で30検体以上の試料を約1時間半で処理することが可能であり,検体処理能力に極めて秀でている。
成果の活用面・留意点
  1. 生産,流通現場における簡易,迅速な残留イミダクロプリド検出法として活用できる。
  2. 他の農作物に適応する場合には,夾雑物の抗原-抗体反応へ及ぼす影響を検討する必要がある。
  3. 同じネオニコチノイド系殺虫剤であるクロチアニジンに対して,交差反応(約12%)を示すので,使用の際には,擬陽性に注意が必要である。
図表1 225421-1.png
図表2 225421-2.png
図表3 225421-3.png
図表4 225421-4.png
カテゴリ 病害虫 加工 出荷調整 農薬 評価法

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