濃厚飼料名給牛における第一胃内エンドトキシン濃度の上昇とこれによる機能障害

タイトル 濃厚飼料名給牛における第一胃内エンドトキシン濃度の上昇とこれによる機能障害
研究期間 1990~1992
研究担当者 :元井葭子
平松都
発行年度 1993
要約 濃厚飼料給与により第一胃内エンドトキシンの濃度は著しく上昇し,これにともなって血中濃度も上昇した。これが肝,心機能や血液凝固系,糖代謝系に異常をもたらすことも明らかになった。したがって,濃厚飼料多給が牛にもたらす障害を,牛の機能の変化から評価することが容易になった。
背景・ねらい 牛に配合飼料や圧ぺん大麦など濃厚飼料を多給すると,第一胃内でいろいろな
有害物質が作られる。なかでも第一胃内の細菌に由来するエンドトキシン(内
毒素,以下ET)は,牛に障害を起こして生産性を低下させるだけでなく,畜
産物を汚染する可能性もある。そこで,第一胃内のETが牛に及ぼす影響を明
らかにし,この有害物質の毒性評価法を検討した。
成果の内容・特徴
  1. 並列比濁時間分析法の応用により,牛の血液と第一胃液中のET濃度が測
    定出来るようになった。
  2. 濃厚飼料を給与すると,第一胃内ET濃度は普通飼料を給与した牛の10
    倍以上に上昇した
    (図1)。
    これにともない,血液中のET濃度も上昇した
    (図2)。
  3. ET濃度の高い第一胃液の上清を,牛の消化管静脈から1回注入したとこ
    ろ,牛は発熱や沈うつなどの症状を示した。また,心および肝機能や血液凝固
    系に異常が現れ,白血球数や血清亜鉛濃度は低下し,コルチゾールや血糖は注
    入後急激に上昇したが,その後血糖は低下した
    (表1)。
  4. ET濃度の高い第一胃液の上清を,牛の消化管静脈から少量づつ継続して
    注入したところ,発熱などの症状は軽かったが,心や肝機能の異常は1回注入
    よりも強く現れた。
  5. 大腸菌のリポ多糖(エンドトキシン)を注入した場合も,牛に同じような
    障害が現れた。
成果の活用面・留意点 第一胃内のETが血液中に入り,これが肝機能,心機能など牛のさまざまな機
能に障害を与えることが明らかになった。この成果は,濃厚飼料多給による牛
の生産病の発病メカニズムを明らかにするうえで有効である。
図表1 225544-1.gif
図表2 225544-2.gif
図表3 225544-3.gif
カテゴリ 大麦 評価法

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