鶏ロイコチトゾーン症の再感染防御には細胞性免疫が重要

タイトル 鶏ロイコチトゾーン症の再感染防御には細胞性免疫が重要
研究期間 1993~1993
研究担当者 :磯部尚
志村亀夫
発行年度 1993
要約 免疫抑制剤シクロスポリンAで処置した鶏におけるLeucocytozoon caulleryiの感染状況及び免疫学的変化から,鶏ロイコチトゾーン症の感染防御には細胞性免疫が重要であることが明らかとなった。
背景・ねらい いわゆる飼料安全法の施行以来,産卵鶏に対して薬剤の使用が大幅に規制され,
薬剤に代わる有効な予防対策が無い鶏ロイコチトゾーン症は,生産性に被害を与
える原虫性疾病として大きな問題となっている。また,出来る限り薬剤を用いず
に生産した畜産物を好む消費者二一ズとあいまって,薬剤に代わる新しい有効な
予防方法の開発が切望されており,その一つとして,免疫学的予防法の開発が考
えられている。しかし,鶏ロイコチトゾーン症の感染防御において,ファブリキ
ウス嚢及び液性抗体の役割は極めて少ないことが明らかになっていることから,
細胞性免疫の役割について検討した。
成果の内容・特徴
  1. Leucocytozoon caulleryi感染鶏では,末梢血液中から原虫が消失し始める
    初感染後21日に細胞性免疫に関与するCD8陽性細胞及びT細胞レセプター(
    TCR)としてγδ鎖を持つ細胞の大幅な増加が見られた
    (図)。
  2. 免疫抑制剤シクロスポリンA(CsA)で処置した鶏では,L.caulleryiに
    よる初感染耐過後も本原虫に対する免疫は弱く,再感染させると末梢血液中への
    原虫の出現(パラシテミア)が見られた。非処置対照の正常鶏では,パラシテミ
    アは全く認められなかった
    (表1)。
  3. CsA処置鶏では,細胞性免疫に関与する各細胞が減少し,特にCD8陽性
    細胞及びTCRγδ陽性細胞において著しかった。また,コンカナバリンA(ConA)
    に対するリンパ球増殖反応及びインターロイキン2(IL‐2)産生の
    大きな抑制が見られた
    (表2)。
成果の活用面・留意点 今後,L.caulleryiに対するワクチンを開発するに当たっては,細胞性免疫を効
率よく活性化するTcellエピトープ及び刺激因子を探索する必要がある。
図表1 225547-1.gif
図表2 225547-2.gif
図表3 225547-3.gif
カテゴリ 薬剤

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