プリオン病の診断に有効な抗ペプチド抗体の作製

タイトル プリオン病の診断に有効な抗ペプチド抗体の作製
担当機関 家畜衛生試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  MAP法により合成したペプチドを用いて,スクレイピーの診断に有用な抗体を作製した。得られた抗体は,羊,ハムスター,マウス由来のPrPscと反応することから,BSEの診断にも応用可能と考えられた。
背景・ねらい  羊,山羊のスクレイピー,牛海綿状脳症(BSE)は人のクロイツフェルト・ヤコブ病などとともにプリオン病と呼ばれている。プリオン病の発症に伴い中枢神経系には異常蛋白質(PrPsc)の出現が認められ,本病の診断にはこのPrPscの検出が重要である。PrPscは宿主由来のプリオン蛋白質(PrPc)が変換したものと考えられており,その化学的性質には差が認められるものの両者の抗原性の違いは報告されていない。そこで,正常プリオン蛋白質のアミノ酸配列を基にペプチドを合成し,これを抗原としてプリオン病の診断に有用な抗体の作製を試みた。
成果の内容・特徴  マウスプリオン蛋白質のアミノ酸配列を基にMAP法(Multiple antigenic peptide system)によりペプチドを合成し,ウサギを免疫して抗体を作製した(図1)。
  1.  ペプチド213-226に対する抗体はウェスタンブロッティング(WB)によりスクレイピー感染マウス,ハムスター,羊の脳から分離精製したPrPscと明瞭な反応が認められた(図2)。

  2.  ペプチド213-226に対する抗体は免疫組織化学的染色においても,Hydrated autoclave法によりスクレイピー感染羊,ハムスター,マウス脳内のPrPscを検出した(図3)。
  3.  合成したペプチドの領域を比較すると,羊,牛の間ではアミノ酸配列に差が認められないことから,作出した抗体はマウス,ハムスター,羊のスクレイピーに加えBSEの診断に利用できるものと思われる。
成果の活用面・留意点
  1.  MAP法により合成したペプチドは従来法に比べて高い免疫原性を示し,プリオン病の診断に有用な抗体を得た。
  2.  本法によるペプチド合成は,他の病原体に対するペプチドワクチンの開発などに応用可能と思われる。
(図4)
図表1 225557-1.gif
図表2 225557-2.gif
図表3 225557-3.gif
図表4 225557-4.gif
カテゴリ 山羊

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