タイトル |
鶏コクシジュウム(Eimeria tenella)ワクチン候補株の交雑性の検討 |
担当機関 |
家畜衛生試験場 |
研究期間 |
1992~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1994 |
要約 |
選抜したコクシジウム弱毒株と野外強毒株との交雑は容易におこった。交雑株の性状を検査したところ,病原性は弱毒株のそれとほぼ一致し,サルファ剤に対する耐性は野外株のそれと同様であった。
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背景・ねらい |
鶏コクシジウム症は,養鶏産業に多大な被害を与えている原虫病であるが,その対応は予防・治療薬の投与が主体である。早熟型発育をする株を選抜すると病原性が低下し,ワクチン素材として重要と考えられている。この弱毒早熟株が野外の強毒株と交雑をおこすか,また交雑による性状の変化を調べることは,早熟株を用いたワクチン開発のためには重要である。さらに,ワクチン株のマーカーとして薬剤耐性を用いることが可能であるかも検討する必要がある。本課題では,Eimeria tenella弱毒早熟株(弱毒株)と薬剤耐性野外毒株(野外株)との有性生殖期を一致させることで交雑株を作出し,その性状を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 鶏に野外株(プレパテント期間:135-137時間,サルファ剤耐性)感染後36時間目に弱毒株(プレパテント期間:110-115時間,薬剤感受性)を感染させ,7日目に採取したオオシストを早熟性と薬剤耐性で選択することにより交雑株が得られた。
- 交雑株の病原性は,オオシスト10^5個感染で中程度の血便が認められ,相対増体率(図1-1),総オオシスト排出数,平均病変値(図1-2)ともに弱毒株のそれとほぼ同程度であった。交雑株のプレパテント期間は114時間であり,早熟株のそれと一致した。
- 交雑株の薬剤耐性の程度は,サルファジメトキシン1,000ppm感作でも中程度の血便(図2-1)が認められ,オオシスト排出も認められた。病変値は2.6(図2-2)であり,スルファ剤感作下での発育は野外株のそれと同程度であった。
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成果の活用面・留意点 |
弱毒株は生活環完了時間が野外株とは異なるものの,容易に野外株との交雑が成立することが明らかとなった。また薬剤耐性もほぼ完全に交雑株に移行していることから,ワクチン株として早熟株を用いるためには,交雑株の病原性復帰の有無や新たなマーカーの検討などが更に必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
鶏
薬剤
薬剤耐性
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