タイトル |
RT-nested PCR法による七面鳥鼻気管炎ウイルスの検出 |
担当機関 |
家畜衛生試験場 |
研究期間 |
1995~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
七面鳥鼻気管炎ウイルス(TRTV)を高感度で検出するRT-nested PCR法を開発した。本法を頭部腫脹症候群(SHS)発症鶏材料に応用したところ、TRTV が高率に検出され、TRTVとSHSの関連性が示唆された。
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背景・ねらい |
七面鳥鼻気管炎ウイルス(Turkey rhinotracheitis virus; TRTV)は当初七面鳥に 呼吸器症状を引き起こすウイルスとして報告された。しかし近年多発している 鶏の頭部 腫脹症候群(Swollen head syndrome; SHS)の発症に、TRTVが関与している可能性が 示唆されている。これまでも国内のSHS発症鶏において高率にTRTV抗体が検出さ れているが、TRTVの分離は鶏腎細胞や発育鶏卵を用いた方法では困難なため容易 ではない。そこで高感度なウイルス検出法としてRT-nested PCR法を開発し、SHS発 症鶏におけるTRTVの検出に応用した。
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成果の内容・特徴 |
- 既に報告されているTRTV-3B株のF蛋白質遺伝子塩基配列を基に2組のプライマーを作製した(図1)。
- RTV-14/1株培養上清及びウイルス感染細胞からRNAを抽出し、上記のプライマーを用いRT-nested PCR法にてウイルスの検出を実施したところ、目的とする遺伝子増幅が確認された(図2)。他の鶏の呼吸器病ウイルス材料では遺伝子の増幅は認 められず、本法の特異性が確認された。
- このRT-nested PCR法では0.4TCID50のウイルス培養上清からウイルスの検出が可能で、非常に高い検出感度を示した。
- このRT-nested PCR法を用いて野外SHS発症鶏の1群5羽からTRTVの検出を試みたところ、1例の気管及び4例の鼻腔から検出され、TRTVとSHSとの関連性が示唆された(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
TRTVに対するこのRT-nested PCR法は特異性が高く、検出感度及び迅速性の点で ウイルス分離に比べ極めて優れていることが判明した。野外のSHS発症鶏の病原学的 検査において、本法の応用はTRTVの本病への関与を調べる上で非常に有用であると考 えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
鶏
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