PCRによる鶏貧血ウイルス遺伝子の検出

タイトル PCRによる鶏貧血ウイルス遺伝子の検出
担当機関 家畜衛生試験場
研究期間 1995~2000
研究担当者
発行年度 1995
要約 病原体分離に代わる迅速で特異性の高いPCR法が鶏貧血ウイルス感染症の診断に応用可能であった。
背景・ねらい 鶏貧血ウイルス(CAV)によって引き起こされる疾病の診断は、貧血などの症状、骨髄の黄色化を主徴とする肉眼所見、抗体検査及び病鶏からのCAVの分離によって行われてきた。確定診断のためには、病鶏からのCAV分離は必須の検査項目であるが、通常行われている培養細胞を用いた分離法では、細胞の継代を繰り返すために最終結果を得るまでに3週間以上かかるなど問題点もある。そこで、病原診断の改良の目的でPCR法の応用を試みた。
成果の内容・特徴
  1. 1st PCRでは既報のCux-1株のシークエンスデーターの485から1067塩基までの583bpを増幅するプライマーを用いた。この部位には、BglII 、HindIII ,AccIの各制限酵素切断箇所がある。Nested PCRでは605から976塩基の372bpを増幅するプライマーを用いた。
  2. 12株のCAV感染培養細胞上清から、CAV遺伝子の検出を行ったところ、すべての材料から583bpあるいは372bpのPCR産物を検出した。上述の制限酵素で切断したところ、いずれの株のPCR産物も酵素切断部位を有しており切断パタ-ンの異なるものはなかった。
  3. 通常、ウイルス分離には病鶏の肝臓乳剤が使用される。そこで、実験鶏や野外発症鶏の肝臓乳剤からの遺伝子の検出を試みたところ、目的とするPCR産物が検出された(表1、図1)。
  4. パラフィン包埋組織切片及びホルマリン固定材料についてもCAV遺伝子の検出が可能であった。1st PCRで検出されなかった場合でも、Nested PCRを行うと目的とするPCR産物が検出され、Nested PCRの感度の高さが確認された(表2、図2)。
成果の活用面・留意点
    PCR法を応用することによりウイルス分離に比べて迅速に鶏貧血ウイルスを検出することが可能であった。また、Nested PCR法を用いることによりパラフィン包埋組織切片及びホルマリン固定材料からもCAV遺伝子が検出されたことから、更に幅広い材料から遺伝子を検出することが可能であり、鶏貧血ウイルス感染症の診断上有用である。
図表1 225582-1.jpg
図表2 225582-2.jpg
図表3 225582-3.jpg
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