タイトル |
ブロイラ−鶏の腹水症に対するユビキノンの予防効果 |
担当機関 |
家畜衛生試験場 |
研究期間 |
1994~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
ブロイラ-鶏の腹水症に対する、ユビキノン(CQ9)の予防効果について検討し た。CQ9の飼料添加により、腹水症の発生率は低下した。しかも、CQ9添加群では無添加群に比較して、生産指数は向上した。
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背景・ねらい |
ブロイラ-鶏の腹水症の発生は年間を通じてみられるが、特に冬期において発生率が高い。本症の病理発生は寒冷感作や低酸素状態などにより、心臓を中心とした循環器障害が起こり、発生するという説が有力である。ユビキノンはcoenzyme Qともいわれる脂溶性ビタミンで、細胞内ミトコンドリアにおける電子伝達系の構成要素として、エネルギ-産生に重要な役割を演じている。心筋の代謝異常は、ユビキノンの減少が関連している。よって、ユビキノンの投与により、心機能が改善することが知られている。本剤は人の鬱血性心不全に効果があり、強心剤、心筋代謝賦活剤として、使用されている。そこで、ユビキノンのひとつであるcoenzyme Q9(以下CoQ9とする)を飼料に添加し、ブロイラ-鶏の腹水 症に対する予防効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 初生の市販ブロイラ-鶏を100羽づつCoQ9添加群と無添加群の2群に分けた。病原体か ら隔離するため、鶏を陽圧隔離鶏舎で56日齢まで飼育した。腹水症の発生をより多くするため、冬期に両群とも15日齢から21日齢までの1週間暖房を停止し、寒冷感作を行った。
- その結果、CoQ9添加群の腹水症の発生は低く、育成率および生産指数は、無添加群にくらべ良好であった(表1)。
- CoQ9添加群の腹水症発生率は無添加群より有意に低かった(表2)。
腹水症に罹患した鶏は、腹部が膨満し(図1)、波動感を有し、開腹すると、肝臓周囲の肝腹膜嚢を中心として、線維素を含む黄色腹水が貯留していた(図2)。また、心嚢水も貯留していた。
- 以上の結果から、CoQ9はブロイラ-鶏において生産性を低下させることなく、腹水症の発生を抑制することが明らかになった。
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成果の活用面・留意点 |
ユビキノンの飼料添加により、ブロイラ-鶏の腹水症の発生が抑制された。今後、野外における腹水症の予防効果について更に検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
鶏
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