DNA簡易抽出法を用いたPCR法によるヨーネ菌の検出,同定

タイトル DNA簡易抽出法を用いたPCR法によるヨーネ菌の検出,同定
担当機関 家畜衛生試験場
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1995
要約 簡易DNA抽出剤を用いたPolymerase chaine reaction (PCR)法による、糞便中ヨーネ菌DNAの検出法を確立した。本法は、ヨーネ病の迅速診断法として有用であると同時に、分離用培地に増殖したヨーネ菌の迅速同定にも応用可能である。
背景・ねらい 家畜法定伝染病である牛ヨーネ病は、現在、ヨーネ菌分離培養法、ELISA抗体検査 、ヨーニン皮内反応を基準診断法とした摘発、淘汰による防疫事業が進められている 。特に、ヨーネ菌分離培養法は重要な診断法の一つであるが、本菌の分離培養には2カ月以上を必要とする為、本病の清浄化をより促進するには、現行の診断法に加え、早期に感染牛の摘発が可能な迅速診断技術の開発が望まれている。一方、ヨーネ菌遺伝子の解析が進み、本菌に特異的な遺伝子IS900が発見されたことにより、本遺伝子の特異配列をターゲットとしたPolymerase chaine reaction (PCR)による病原学的診断法が可能となった。本課題では、ヨーネ菌の迅速な検出、同定及び多検体処理法の確立を目的として、市販のDNA簡易抽出キットをPCR 法に応用し、糞便からのヨーネ菌DNA検出による迅速診断法について検討した。
成果の内容・特徴
  1. PCRは、Collinsらの報告を参考として、図1.に示した2段階のPCRを行う方法により実施した。まず、First PCRを30サイクル、Second PCRを20サイクル合計50サイクルのPCRによりヨーネ菌DNAを増幅した。
  2. 市販の簡易DNA抽出キットについて、ヨーネ菌DNA抽出効率を比較した結果、BioRad社のInstaGene Matrixを用いることにより、ヨーネ菌DNAを効率的に抽出することが可能であった。
  3. PCRによるヨーネ菌DNA検出限界を調べたところ、ヨーネ菌標準株菌液を用いた試験では、First PCRでは、菌濃度10,000CFU/mlまで検出され、さらにSecond PCRを行うことにより10CFU/mlまで検出することが可能であった(図2)。さらに、糞便中のヨーネ菌DNAの検出限界を検討したところ、糞便希釈液1ml中に60CFUの菌が存在すれば、PCRによりヨーネ菌DNAの検出が可能であった(図3.)。
成果の活用面・留意点
    今回確立されたBio-Rad社のDNA簡易抽出剤(InstaGene Matrix)を用いる方法は、高い検出感度を示すと同時に、極めて操作が簡便で多くの検体を処理することが可能であり、ヨーネ病の迅速診断法として有用である。 本PCR法は、糞便中のヨーネ菌DNAを高感度に検出する為に、増幅ステップを50サイクル繰り返すが、高感度であるが故に、反応系のコンタミネーションによる偽陽性に注意することが重要である。
図表1 225590-1.jpg
図表2 225590-2.jpg
図表3 225590-3.jpg
カテゴリ 診断技術

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