タイトル |
抗ウシCD2モノクローナル抗体を用いたウシ早期妊娠因子の検出 |
担当機関 |
家畜衛生試験場 |
研究期間 |
1994~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
市販の抗ウシCD2モノクローナル抗体を用いたロゼット抑制試験によりウシ早期妊娠因子を検出する方法を開発した。この方法により妊娠および非妊娠を排卵後24時間から判別できることが明らかとなった。
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要約(英語) |
To reliably detect early pregnancy factor (EPF) in cattle, monoclonal antibody specific for bovine CD2 molecule was applied to the rosette inhibition test. The results obtained have indicated that anti-bovine CD2 monoclonal antibody can be utilized with the rosette inhibition test to detect EPF in cattle, and that this assay detects bovine EPF for pregnancy serum at least 24 hours after ovulation. (Department of Pathology and Physiology, Lab. of Theriogenology TEL 0298-38-7784)
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背景・ねらい |
ウシの低受胎(リピートブリーディング)は発情周期がほぼ正常に営まれており,臨床検査で卵巣および副生殖器に特に異常が認められないにもかかわらず,反復して授精されても受胎しない状態である。その原因として受精障害と胚の早期死滅が挙げられているが,受精障害と胚の早期死滅を的確に区別する診断技術は確立されていない。そこで受精後早期に母体血中に出現し,胚の回収や流産により速やかに消失する早期妊娠因子(EPF)を胚の生存性モニタリングのマーカーとして活用するため,入手の容易な市販の抗ウシCD2モノクローナル抗体を用いたウシEPFの検出法について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 市販の抗ウシCD2モノクローナル抗体を用いたEPF検出が可能かどうかを検討するため,妊娠および非妊娠牛からのプール血清についてウシ末梢血リンパ球とヒツジ赤血球とのロゼット抑制試験を行い,ロゼット形成率が対照(抗体無添加)の75%以下となる抗体希釈倍率の中で最大の希釈倍数の対数をロゼット抑制力価(RIT)として算出した。その結果,妊娠血清は非妊娠血清に比べ有意に高い値を示し,抗ウシCD2モノクローナル抗体を用いたロゼット抑制試験によりウシEPFが検出できることが明らかとなった(図1)。
- 妊娠牛および非妊娠牛について各個体ごとのRITにより妊娠および非妊娠の判別が可能であるかを検討したところ,RITは妊娠牛で6~8,非妊娠牛で2~3の範囲にあり,この方法により,妊娠および非妊娠を明確に区別できることが明らかとなった(図2)。
- さらに,同一個体から経時的に血清を採取してロゼット抑制試験を行い,RITを算出した。その結果,妊娠例においてウシEPFは少なくとも排卵後24時間から検出されることが示された(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
市販の抗ウシCD2モノクローナル抗体を用いたロゼット抑制試験により,ウシEPFが高感度に検出できることが示された。しかし,ロゼット抑制試験は操作が煩雑なため,臨床応用するためにはより簡便にEPFを検出する方法を開発する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
診断技術
羊
モニタリング
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