志賀毒素に起因する豚初代血管内皮培養細胞のアポトーシス

タイトル 志賀毒素に起因する豚初代血管内皮培養細胞のアポトーシス
担当機関 (現
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 2000
要約  豚初代血管内皮培養細胞に志賀毒素を暴露するとアポトーシスが起こり,これを指標とする毒性評価に応用が可能であることが示唆された。この系はヒトや豚での血管障害機序と破壊を通じた血行性播種解析のモデルにもなる。
要約(英語)  To assess the cytotoxicity of Shiga toxin 2, filtrated culture supernatants of E. coli O139 (pig isolate, 100 CD50/ml) were loaded to primary porcine arterial endothelial (PAE) cells and Vero cells. These cells were morphologically examined after 24 hours of exposure. Clotted or fragmented nuclear chromatin and convoluted or protuberated cytoplasm were observed both in the PAE cells and Vero cells by light microscopy. DNA fragmentation was detected in these cells by the transferase-mediated dUTP-biotin nick end labeling (TUNEL) method. Moreover, the characteristics of apoptosis, segregation of condensed chromatin attaching to the convoluted nuclear outline or formation of apoptotic bodies, were confirmed ultrastructurally. These results show the association of apoptosis in the cytotoxicity of Shiga toxin 2.(Toxico-Pathology Section, Department of Safety Research TEL+81-298+38+7818)
背景・ねらい
 培養細胞をもちいた志賀毒素の毒性評価法については,多くの細胞をもちいて種々の検討が試みられているが,動物試験より高感度かつ的確な手法は確立されていない。そこで,毒素の有効な評価手法の開発を目的に,毒性発現の指標となる細胞形態変化について豚初代血管内皮細胞をもちいて検討した。
成果の内容・特徴

  1. 豚の動脈弓から分離した血管内皮細胞は9代目までの継代が可能であった。培養細胞は,内皮に特徴的な敷石状配列をとり,電顕で細胞質内に Weibel-Palade 小体が観察され,形態的に血管内皮と同定された(図1) 。
  2. 豚初代動脈内皮培養細胞に志賀毒素 (VT2e:豚由来 E. coli O139株の培養上清)を暴露し,光顕・電顕観察およびTUNEL染色をおこなった。その結果,細胞核クロマチンの凝縮,断片化やアポトーシス小体の形成などの形態変化がみられ,これらの細胞はTUNEL染色陽性を示した(図2)。このことから VT2e は豚初代血管内皮培養細胞にアポトーシスを起こすことが示された。

成果の活用面・留意点
     豚血管内皮の培養細胞系は形態的変化(アポトーシス)を指標とした 志賀 毒素 VT2毒性評価に応用可能と考えられる。さらに,この系はVT2 による血管障害が指摘されている豚の浮腫病やヒトの溶血性尿毒素症候群 (HUS) 解析のモデルとなることが期待される。

図表1 225707-1.jpg
図表2 225707-2.jpg
カテゴリ 播種 評価法

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