効果の高い組換え伝染性ファブリキウス嚢病ワクチンの開発

タイトル 効果の高い組換え伝染性ファブリキウス嚢病ワクチンの開発
担当機関 日本ゼオン
研究期間 2000~2002
研究担当者 佐藤孝則
佐伯早木子
山口成夫
真瀬昌司
斉藤修治
谷村信彦
塚本健司
発行年度 2002
要約 ヘルペスウイルスベクターを用いた組換え伝染性ファブリキウス嚢病ワクチンの効果を高める目的で、本ベクターにおける抗原発現量とワクチン効果の関係を調べた。その結果、抗原を大量に発現させることによって、現行ワクチン以上に効果が高く長期間有効な組換え伝染性ファブリキウス嚢病ワクチンが作製できることが明らかになった。
キーワード 組換えワクチン、ウイルスベクター、伝染性ファブリキウス嚢病
背景・ねらい 消費者に安全な畜産物を安定供給するためには、ワクチンを用いて伝染病を予防する必要がある。しかし、多種多様な伝染病に対して、それぞれに対応したワクチンを再三投与しなければならず、生産現場から、ワクチンの省力化が求められている。
ヘルペスウイルスであるマレック病ウイルスのワクチン株は、母子抗体があっても投与でき、長期間有効な省力型ワクチンのベクターとして期待されている。しかし、我々がこれまでに作出した鶏伝染性ファブリキウス嚢病に対する組換えワクチンの効果は、現行ワクチンには及ばなかった。
そこで、そのワクチン効果を高める目的で、本ベクターにおける抗原発現量とワクチン効果(病変阻止、抗体誘導)の関係を検討した。
成果の内容・特徴 1.
マレック病ウイルスワクチン株をベクターとして、鶏伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスの防御抗原VP2について、発現量の異なる2種類の組換えウイルス(rHVT-cmvVP2、 rHVT-pecVP2)を作出した。ウイルス感染細胞では、rHVT-pecVP2はrHVT-cmvVP2の4倍量の抗原を発現した(図1)。
2.
投与30日後にIBDに対する病変阻止率を調べたところ、rHVT-pecVP2が100%、rHVT-cmvVP2が58%、現行生ワクチンであるIBDV-Aが92%であった(図2)。rHVT-pecVP2は、攻撃株の感染を阻止していることが病理組織検査で確認された。また、VP2に対する抗体保有率(平均抗体価)は、rHVT-pecVP2が96%(2.8単位)、rHVT-cmvVP2が42%(0.5単位)、IBDV-Aが67%(1.6単位)であった。
3.
ワクチン効果の持続性を調べたところ、rHVT-pecVP2を接種された鶏では、抗体量が16週齢まで上昇を続け、病変阻止に必要な抗体量の10倍(約14AGP単位)に達し、それが実験終了まで持続した(図3)。
4.
これらの結果から、マレック病ウイルスに抗原を大量に発現させることによって、現行ワクチン以上に効果が高く長期間有効な組換え伝染性ファブリキウス嚢病ワクチンが作製できることが明らかになった。
成果の活用面・留意点 1.
組換え生ワクチンを野外で使用するには安全性について調べる必要がある。
2.
他の鶏感染症にもベクターとして利用できる可能性がある。
図表1 225741-1.gif
図表2 225741-2.gif
図表3 225741-3.gif
カテゴリ 省力化

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