モノクローナル抗体を用いたニパウイルス感染症の免疫組織学的診断法

タイトル モノクローナル抗体を用いたニパウイルス感染症の免疫組織学的診断法
担当機関 感染病研究部
研究期間 2003~2004
研究担当者 John White (豪州家畜衛生研究所)
Shahirudin Shamsudin
Sharifah Syed Hassan (マレイシア獣医学研究所)
加来義浩 (国立感染症研)
今田忠男
谷村信彦
池田秀利
発行年度 2003
要約 抗ニパウイルスモノクローナル抗体(11F6、13A5)はホルマリン固定、パラフィン包埋した動物組織中のニパウイルス抗原に特異的に反応する。これらの抗体は動物のニパウイルス感染症の免疫組織化学的診断に活用できる。
キーワード ニパウイルス、モノクローナル抗体、免疫組織化学、ブタ
背景・ねらい
 ニパウイルスはヘンドラウイルスと共にパラミキソウイルス科、へニパウイルス属に分類され、新興の人獣共通感染症の病原体である。ニパウイルスは1998-1999年マレイシアで人の致死的な脳炎、豚の肺炎と髄膜脳炎を起こし、ヘンドラウイルスは1994年オーストラリアで人と馬の肺炎と髄膜脳炎を起こした。両ウイルスは共通抗原を有し、血管と神経に親和性があるため類症鑑別が必要である。診断で生ウイルスを使用する場合はバイオセイフテイレベル3以上の施設が必要であり、剖検にあたる者はマスク、メガネ、カバーオールの着用が必要である。本課題では、危険な感染性ウイルスを使用しない診断法を確立するため、ニパウイルス抗原を免疫組織化学的に特異的に検出する手法を検討した。
成果の内容・特徴 1.
抗ニパウイルスモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体とニパウイルス接種豚およびヘンドラウイルス接種馬の肺のホルマリン固定・パラフィン包埋組織との反応性を免疫組織化学的に検査した。各ウイルスを皮下接種後7日目に肺組織を採取し、10%中性緩衝ホルマリン液で1週間固定した。抗原賦活化法として、電子レンジ加熱または蛋白分解酵素処理が必要であった(表1)。
2.
モノクローナル抗体(11F6および13A5)はニパウイルス抗原と陽性反応を示すが、ヘンドラウイルス抗原とは反応しなかった(表1)。
3.
ポリクローナル抗体はニパウイルス抗原とヘンドラウイルス抗原の両方に陽性反応を示した(表1)。
4.
これらのモノクローナル抗体と抗ニパウイルスポリクローナル抗体を併用することによって、ニパウイルスとヘンドラウイルスの免疫組織化学的鑑別診断に応用できる(図1、2)。
成果の活用面・留意点 1.
ニパウイルスはホルマリン固定により不活化されるので、ホルマリン固定、パラフィン包埋組織を用いた免疫組織化学検査はニパウイルス感染症の診断法の一つとして安全性の面からも推奨される。
2.
ホルマリン固定液中に動物組織を長期間漬けたまま放置するとウイルスの抗原性が失われ、モノクローナル抗体と反応しなくなる。動物組織はホルマリン固定後早期にパラフィンブロックを作製して保存するのが望ましい。
図表1 225769-1.jpg
図表2 225769-2.jpg
図表3 225769-3.gif
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