タイトル |
搾乳牛を集約放牧した場合の土地生産性 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
草地の高度利用と濃厚飼料の節減を目的として、搾乳牛の集約放牧を行い、草地からの産乳量を調べた。単位面積当たりの放牧頭数を変えた2つの試験区で、共に草地1ha当たりの産乳量は10000kgの乳生産量を達成した。
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背景・ねらい |
今後わが国の酪農は、一層の低コスト生産と、環境と調和したゆとりある経営が求められている。その一つの対応策として搾乳牛の放牧は、非常に有望と考えられる。しかし、従来の粗放な放牧では、乳量の高い搾乳牛の飼養は難しく、土地生産性も低い。そこで、高栄養の草質が維持できる集約放牧を搾乳牛に適用し、個体乳量の低下を招かずに土地生産性の高い放牧技術を開発する。草地から生産される草を最大限に利用し、補助飼料の節減を図りながら集約放牧を行い、草地から効率的に乳性産を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 1993年(冷夏)と1994年(猛暑)の2年、1.1ha(放牧主体区)と0.65ha(濃厚飼料増給区)のペレニアルライグラス主体草地に、2~3月に分娩した乳牛3頭ずつを4月中旬から輪換放牧した。春は草地の一部(1番草は草地面積の55%、2番草は45%)を禁牧して採草した。滞牧日数は半日から1日で、輪換日数は1番草採草までが10日、2番草採草までが12日、以後収牧まで22日であった。乳量、放牧草の草量・草質に応じて、濃厚飼料(TDN75%、DCP15%)と粗飼料の給与量を決定した。
- 草地(放牧草と生産された貯蔵飼料)からha当たりの産乳量は1994年度の放牧主体区で低いが、ほぼ10000kgを達成した(表1)。放牧期間中の乳量と泌乳ステージから推定した個体当たりの305日乳量は6500から7000kgであった。
- 草地(放牧草と生産された貯蔵粗飼料)からのTDN摂取量の全体に占める割合は放牧主体区で約80%、濃厚飼料増給区は47%と59%で、両区とも全摂取量に対する濃厚飼料の給与量は少なかった(表2)。
- 日乳量は春の泌乳最盛期に明瞭なピークがなく、夏期に乳量が低下し、この時期の栄養摂取量が不足したことが推測された(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 放牧を基本として産乳量が6500~7000kgレベルの搾乳牛を飼養し,ha当たりの10000kgの乳性産が達成できることが明らかになり、搾乳牛の集約放牧の可能性を示した。
- 泌乳最盛期と夏期の飼養方法はまだ問題がある。また、乳質を制御するための補助飼料の給与方式や暑熱対策については更に検討が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
低コスト
乳牛
放牧技術
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