タイトル |
ニホンミツバチの遺伝資源としての特性 |
担当機関 |
畜産試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
遺伝資源として注目されているニホンミツバチの特性について調査したところ、ニホンミツバチは養蜂種であるセイヨウミツバチと比較して、より低温で訪花活動を行い、しかも曇天でも活動性があることがわかった。更に、ダニに対する抵抗性もセイヨウミツバチよりも優れていることがわかった。
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背景・ねらい |
ニホンミツバチは、セイヨウミツバチにない優れた形質を持つといわれており、有用な遺伝資源として注目されている。しかし、ニホンミツバチの優位性を示す具体的データは乏しい。そこで、ニホンミツバチの特性について調査し、遺伝資源としての価値を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 低温下における行動:
(1) 低温条件下における飛翔行動を恒温装置内で観察し、セイヨウミツバチと比較した。その結果,セイヨウミツバチは10.0℃でほとんど飛翔しなくなるが、ニホンミツバチは 10.0℃でも約10%の個体が飛翔し、またセイヨウミツバチがまったく飛翔できない7.0℃でも約1% 強の個体が飛翔行動した。 (2) ガラス室内における訪花行動をセイヨウミツバチと比較した。その結果、ニホンミツバチのほうがより低温で訪花行動を開始した。またセイヨウミツバチではほとんど訪花行動しない曇天や雨天でもニホンミツバチは、訪花する個体が多く見られた(図1)。
- ニホンミツバチのダニ抵抗性:幼虫期、さなぎ期、成虫期の働きバチにミツバチヘゲギイタダニを寄生させた場合、ニホンミツバチにおけるヘギイタダニの生存率は、セイヨウミツバチの場合より有意に低かった (図2)。
- スズメバチに対する防御:スズメバチが巣門より侵入できない場合、ニホンミツバチは防御行動を起こさず、出巣しないことで、スズメバチの攻撃を回避していた。これは、いわゆる“熱蜂球”による防御とともに顕著な防御手段となっている。
- 人工王台の造成:ニホンミツバチでは、人工的に女王を育成することは困難であった。また、セイヨウミツバチ働きバチによるニホンミツバチ女王の造成も成功しなかった。
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成果の活用面・留意点 |
ニホンミツバチはセイヨウミツバチにない特性を持っているので、セイヨウミツバチを利用できない場面で活用できる。実用化に当たっては、飼育面で、セイヨウミツバチとの競合などに配慮する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
遺伝資源
抵抗性
ミツバチ
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