FISH法によるウシ精子核内におけるY染色体の観察とその応用

タイトル FISH法によるウシ精子核内におけるY染色体の観察とその応用
担当機関 畜産試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約 ウシ精子核内におけるY染色体の局在部位を FISH法で観察した。この技術を用い異数
背景・ねらい 精子頭部は動物種特有の形態を示し、その大きさや形状の検査は精液検査の基本とされているが、その内部情報を臨床的に知る手段はなかった。見えないものを見るための新しい技術であるFISH法(蛍光インサイツハイブリダイゼーション)は、特定のDNAの細胞内における局在部位や遺伝子の染色体上の座位をしるうえで広く使われている技術である。本研究ではこの技術を用い、セントロメアDNA、テロメアDNAおよびY染色体DNAの局在を目印に精子核内を観察し、さらにこの技術の応用として①異数性精子の出現率の計測、②無担体電気泳動法で分離された精子のXY判定を行った。
成果の内容・特徴
  1.  染色体の末端部を構成するテロメアDNAや染色体の紡錘糸付着点に存在するセントロメアDNAは精子核のほぼ全域にランダムに配置されているのに対し、Y染色体はある特定の領域に局在した(図1)。しかしながら、頚部に近い領域にY染色体を持つ精子が多く認められた例があった(表1)。
  2.  成熟分裂 Ⅱ不分離に原因すると考えられる2つのY染色体を持つウシ精子(異数性精子)の出現率は0.04%であった(表1)。
  3.  無担体電気泳動法でウシ精子は双峰性分布を示し分画採取され(図1)、そのうち陽極側の3分画および陰極側の1分画の合計4分画について FISH 法でXY判定した結果、どの分画においてもY精子の割合はおよそ50%で、XY精子の分離効果は認められなかった。産子の性で分離効果を判定する従来の判定法では成績をまとめるのに数年を要したが FISH 法を導入した結果,1ヶ月で結論を得ることができた(表2)。
成果の活用面・留意点
    精子核におけるY染色体の局在部位の特徴および異数性精子の出現率に関する知見は正常精液について検討し得られたものである。今後、受胎性の不良な精液についてその原因解明の調査項目のひとつにこの技術が応用されることが考えられる。また、FISH 法によるXY精子の判別法は産子の性で分離効果を判定する従来の方法に比べて、①より少数の精子で実験できる、②判定に要する時間が大幅に短縮できる、③多数の検体を一度に処理できる利点を持ち、今後のXY精子分離実験において活用される技術と考えられる。
図表1 225967-1.jpg
図表2 225967-2.jpg
図表3 225967-3.jpg
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