タイトル |
高率に牛のクローン胚が作出できる核移植法と体外培養法 |
担当機関 |
畜産試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
高率にクローン胚が作出できる核移植法とCR1aa培地を用いたマウス胎子由来線維芽細胞との共培養法を開発した。
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背景・ねらい |
クローン家畜の生産手段として胚の核移植技術は極めて有用であると考えられるが、核移植胚の体外での発生率は低く、現状ではクローン家畜の安定的生産は困難である。そこで、高率に胚盤胞が得られる核移植胞および体外培養法を開発することを目的とした。
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成果の内容・特徴 |
- 妊娠14~16日のマウス胎子より得た線維芽細胞をマイトマイシンCで処理することにより分裂を抑制し、牛体外受精卵および核移植胚のための共培養細胞とした。また、一部の細胞は凍結保存し、適宜融解して用いた。この方法を用いることにより、胚が共培養細胞により押しつぶされることがなく、また安定した培養条件が得られるようになった。
- 培養液としてM199あるいは単純合成培地(CR1aa)を用いて牛体外受精卵を48時間培養した後、マウス線維芽細胞と6日間共培養した結果、CR1aa を用いた試験区において高い胚盤胞発生率が得られた(表1)。
- 徐核未受精卵に牛16~32細胞期胚割球を融合して作出した核移植胚を、2と同様に培養した結果、CR1aa とマウス線維芽細胞を用いた培養系は核移植胚の発生を支持することが明らかとなった(表1)。
- 体外成熟培養22時間の未受精卵を除核後、カルシウムイオノフォアで5分間、さらに蛋白合成阻害剤(シクロヘキシミド)で6時間処理した卵子をレシピエント卵として核移植を行った(図1)。核移植胚をCR1aaとマウス線維芽細胞を用いる共培養系で培養したところ、46.5%の胚盤胞発生率が得られ、ドナー胚1個あたり平均9.4個の移植可能なクローン胚が得られた(表2)。
- 核移植胚を性周期を同期化した受胚牛に移植したところ、21%(15/71頭)が妊娠した(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
クローン牛の作出を目指すにあたっては、移植胚や受胚牛の選定に細心の注意を払うことが望まれる。また、効率的なクローン産子作出のためにはドナー胚及び核移植胚の凍結保存技術の確立が急務であると考えられる。生産されたクローン産子は、繁殖、生理、栄養等、遺伝的形質の違いが問題となる種々の試験研究の精密化や、クローン検定において有効に活用できると考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
遺伝的形質
繁殖性改善
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