タイトル |
授乳時の豚の音声の周波数解析 |
担当機関 |
畜産試験場 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
周波数解析の結果、授乳時の母豚の鼻声は 0.1 から 3kHZの範囲にあり、5ないし6個のフォルマントが存在し、鼻声の頻度は子豚の吸入行動に一致して約2倍に上昇した。子豚の乳を求める鳴き声は 0.1から10kHZの範囲にあり、7ないし8個のフォルマントが存在した。また、それらの音声のフォルマントの存在する周波数に個体差が認めれれた。
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背景・ねらい |
家畜間のコミュニケーションでは、行動・臭いなどとともに鳴き声が重要な手段の1つになっている。なかでも、母豚の鼻声と子豚の乳を求める鳴き声の唱和が、豚の母子間の授乳・吸乳の合図となることが報告されている。しかし、これまで豚の音声を周波数解析した報告はほとんどない。そこで、授乳時の母豚の鼻声と子豚の鳴き声を解析し、それらの特性を明らかにすることを目的とした。
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成果の内容・特徴 |
- 授乳時のランドレース系母豚の鼻声と子豚の乳を求める鳴き声を計測用マイクロホンで測定し、周波数分析装置(FFTアナライザーおよびサウンドスペクトログラフ)により解析した。
- 授乳時の母豚の鼻声の周波数の範囲は 0.1から3kHZでピッチの変化はなく、5ないし6個のフォルマント(音声波の周波数分析において、声道の共鳴の結果、音のエネルギーがある特定の周波数領域に集中すること、またはその結果現れるスペクトルの山)が存在した(図1)。また、フォルマントの存在する周波数が個体ごとに若干異なり、母豚の鼻声には個体差が認められた(表1)
- 授乳初期にはゆっくり繰り返される鼻声( 4.7 ± 1.4回 / 5秒, n=7 )が1分間程度続いた。このとき子豚は鳴き声を出して乳頭を争った後、乳房を鼻で押す行動が認められた。その後、鼻声の頻度は約2倍に上昇し(9.9 ± 2.9回 / 5秒, n=7 ;P<0.01)、この鼻声は30秒程度続いた。この時期に一致して子豚は静かになり、吸乳行動が認められた。その後、鼻声の頻度は次第に低下し、この時期には子豚が再び乳房を鼻で押す行動が認められた。
- 子豚の乳を求める鳴き声の周波数の範囲は 0.1 から10kHZで,7ないし8個のフォルマントが存在した(図2)。また、フォルマントの存在する周波数が個体ごとに若干異なり子豚の鳴き声にも個体差が認められた(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
豚の音声の特性に関する基礎知見であり、今後、豚の行動の制御(音声による子豚の吸入行動の制御、畜産研究成果情報、9, p51~52, 平成7年7月参照)などに母豚の鼻声が利用できる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
くり
豚
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