タイトル |
1.5シーズン放牧による肉用牛生産 |
担当機関 |
草地試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
黒毛和種去勢牛の育成期と肥育前期に放牧を1.5シーズン取り入れ,春季に放牧1及び2シーズン目の2群を放牧し刈取りを省いた草地管理が可能となった。27~30か月齢まで肥育した結果,増体量600~900kg/haを達成し,発育,枝肉成績も良好であった。
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背景・ねらい |
肉用牛の2シーズン放牧方式は放牧2シーズン目で高い増体が得られ、濃厚飼料給与量を節減するメリットがある反面、飼養期間が長期化する。一方、放牧草地の春の余剰草の採草や掃除刈りは、地形上の制約や梅雨による刈遅れによる夏季の草質低下の原因となり易い。そこで、2シーズン目の放牧を草が余る春のみに実施し、刈取り労力を軽減するとともに飼養期間を短縮した新しい低コスト肉用牛生産方式(1.5シーズン放牧方式)を開発する。
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成果の内容・特徴 |
1haのペレニアルライグラス主体草地を用い、4月から7月までは入牧時18か月齢で放牧2シーズン目の黒毛和種去勢牛4頭(1.5シーズン牛)と入牧時6か月齢の1年目の牛4頭(1シーズン牛)を放牧した。8月以降は、前者は舎飼いで粗飼料多給型肥育を行い、後者は草地全体に秋まで放牧した。1.5シーズン牛は50a~70aに定置放牧し、1シーズン牛は30~50aに1日1回転牧の輪換放牧を行った。
- 4~7月に2群放牧することにより牧草の季節生産性に見合った利用ができ、牧草の顕著な余剰はみられなかった。
- 供試牛の発育は、疾病牛の発生した第2回次を除き放牧時の日増体量が0.63~0.84kgと良好な増体を示した(表1)。
- 補助飼料給与分を除いた牧養力は毎年700CD前後でほぼ一定であった(図1)。ha当たりの増体量は600~900kgの範囲にあり、高い草地生産性が認められた(図2)。
- 21~27か月齢の肥育時の発育は良好であり、27~30か月齢の枝肉成績もA3以上であった(表2)。
- 本肥育方式は、慣行の去勢若齢肥育と比べて濃厚飼料給与量が27か月齢屠畜では53%、30か月齢屠畜では35%節減でき、草地管理も容易であった。
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成果の活用面・留意点 |
- 放牧頭数の増減による草地の季節生産性平準化は、刈取り利用が不可能な傾斜複雑地形の草地にも広く適用できる。
- 2シーズン目の放牧牛は、草地の状態によって補助飼料を増減し、飼料の急変を避けて舎飼い肥育に移行する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
低コスト
肉牛
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