始原生殖細胞の移植による生殖系列キメラニワトリの作出

タイトル 始原生殖細胞の移植による生殖系列キメラニワトリの作出
担当機関 畜産試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 ニワトリ初期胚の血液から採取した始原生殖細胞を,そのままあるいは凍結保存した後,別種の初期胚に移植することにより,生殖系列キメラニワトリが作出された。また,トランスフェクション処理された始原生殖細胞の移植により,初期胚の生殖腺において外来遺伝子を発現させることが可能であった。
背景・ねらい 始原生殖細胞は発生に伴い卵子や精子に分化する細胞であり、始原生殖細胞を操作する
ことにより、外来遺伝子の導入法や遺伝資源の保存法の関発に応用することが可能と考え
られる。そこで、本研究では始原生殖細胞の移植による生殖系列キメラニワトリの作出技
術を開発するとともに、始原生殖細胞の凍結保存法や始原生殖細胞を利用したニワトリ初
期胚への外来遺伝子導入法を開発することを目的とした。
成果の内容・特徴
  1. ニワトリ初期胚の血液から採取した始原生殖細胞を別種のニワトリ初期胚に移植し、
    培養により処理胚を孵化させた。これらの個体が成熟した後に交配実験を行ったとごろ、移植した始原生殖細胞由来の個体が約80%の効率で得られる生殖系列キメラニワトリが作出された(表1)。
  2. ニワトリ初期胚の血液から採取した始原生殖細胞を、凍結保護剤として10%DMS0を含む培養液に浮遊させた。これを1℃/分の割合で-80℃まで温度を下げた後、液体窒素(-196℃)に入れ、4~5か月間保存した。融解後、これらの始原生殖細胞を別種のニワトリ初期胚に移植し、個体を孵化させた。交配実験の結果、これらのニワトリから凍結保存した始原生殖細胞由来の個体が0.9~26%の効率で作出された(表2)。
  3. ニワトリ初期胚の血液から採取した始原生殖細胞を、インビトロでリポフェクション処理により遺伝子(lacZ)導入を行った。処理された始原生殖細胞を別種のニワトリ初期胚に移植し、3日間培養した後、胚を固定して、外来遺伝子の発現を調べた。 その結果、71.2%(37/52)の胚の生殖腺で、一過性ではあるものの、外来遺伝子の発現が確認された。また、リポフェクション処理を行った始原生殖細胞由来の個体が、生殖系列キメラを利用して作出された(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 始原生殖細胞の移植によって作出した生殖系列キメラニワトリは、鳥類の遺伝資源の保存法の開発や、鳥類への外来遺伝子導入法の開発に応用可能である。
  2. 始原生殖細胞の体外での培養・増殖技術が開発されていないので、鳥類の遺伝資源保存法としては実用化の段階には至っていない。
  3. ニワトリ初期胚生殖腺への外来遺伝子の導入は可能であるが、現在の段階では染色体への安定的な組み込みは期待できない。
  4. 国内、海外特許出額中(始原生殖細胞及び生殖細胞の凍結保存法)。
図表1 226008-1.jpg
図表2 226008-2.jpg
図表3 226008-3.jpg
カテゴリ 遺伝資源

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