タイトル |
心拍変動のスペクトル解析による牛の自律神経活動の評価 |
担当機関 |
畜産試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
仔牛のストレスの指標として心電図R-R間隔の時系列データのスペクトル解析から自律神経系の活動度を求めた。ストレスとして環境温度を20℃から0℃へ変更したときの自律神経系の活動度は環境温20℃に比べ3倍~4倍に亢進していることが明らかになった。
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背景・ねらい |
生体ストレスの研究において,心拍変動の時系列分析から神経性循環調節機能を求める ことが注目されている。心拍変動は交感神経および副交感神経の活動を反映しており、そ の活動から自律神経系の循環調節機能の変動が求められることが報告されている。そこで、 家畜の心電図R-R間隔のスぺクトル解析から自律神経機能の活動を解析し、家畜のスト レスの評価指標を求めることを目的とした。
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成果の内容・特徴 |
- (図1)は、環境温度0℃における子牛の真夜中約1時間の心電図R-R間隔の時系列データを200msec等間隔で補間した後、FFT解析した時のパワースペクトル値を示す。パワースペクトル分析により低周波帯(LF、0.04~0.14Hz〉と高周波帯(HF、0.14~0.5Hz)に分離する。低周波帯は主に交感神経活動を表し、高周波帯は副交感神経活動を示唆する。このパワースペクトルのLF/HFの面積比が自律神経系の活動度を示す。
- (図2)は、子牛(4頭)を環境温度20℃に7日間その後環境温度0℃に6日間留置したときの交感神経活動度の平均値と標準偏差を示す。環境温度が20℃では、交感神経活動度は0.2前後である。0℃にすると、活動度は0.8前後に急増し、変温後4日間はほぼ同じ平均値であった。
- (図3) は、子牛(4頭)の副交感神経系の活動度の平均値と標準偏差を示す。環境温度20と0℃とでは副交感神経系の活動度に大きな違いがなかった。
- (図4) は、LF成分とHF成分の比から自律神経系の活動度を示す。環境温度20℃においては、自律神経系の活動度は30~40前後を示しているが、変温日は140前後となり、その後に徐々に減少する傾向を示した。この自律神経系の活動度の変化は、我々が
これまで報告してきた生体リズムの安定する変温後の日数と一致している。
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成果の活用面・留意点 |
子牛の心拍変動のスペクトル解析により、自律神経系の活動度の亢進が定量的に求めら れる。本法は外部環境のストレッサーに対する家畜のストレス反応を研究するのに有用な 手法として応用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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