タイトル |
鶏雛からのリン排泄量の低減技術 |
担当機関 |
畜産試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
鶏雛からのリン排泄量を低減するためには,飼料のオートクレーブ処理,大麦あるいは小麦の利用および飼料用酵素フィターゼの利用が効果的である。これらにより鶏におけるリンの利用性が改善され,この結果,鶏の発育,飼料効率を低下させることなくリン排泄量を低減することができる。
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背景・ねらい |
排泄成分のうち,窒素と並んでリンは水質汚濁,湖沼の富栄養化の原因物質の一つであ り,リン排泄量を低減することはとりわけ重要である。また,別の見方をすれば,世界の リン鉱石の埋蔵量は有限であり,80年後には枯渇するといわれている。 そこで、生産性を低下させることなくリン排泄量の低減化を図るため、鶏雛を用いて栄 養飼料面から種々の方策を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- リンを約3%含む脱脂米ヌカを120℃3時間高圧蒸煮(オートクレーブ)処理することにより、フィチンリンが分解し無機リンが1.0%増加した。低有効リン(0.31%)飼料中の無処理脱脂米ヌカ(10%配合)をこの処理脱脂米ヌカで代替する実験を行ったところ、鶏雛の増体量、飼料効率および骨の灰分含量は対照飼料と比べて差のない成績となった。リン排泄量は、対照飼料と比べて約15%少なくなった(表1)。
- 大麦あるいは小麦を飼料中に50%配合すれば、飼料の有効リン水準は0,32%に低減しても発育、飼料効率は低下しなかった。これにより鶏雛の排泄リン量は約20%少なくなった(表2)。
- 飼料添加用酵素「フィターゼ」をトウモロコシ大豆粕飼料1kg当たり500から1,000単位(pH5.5)添加することにより、飼料の有効リン水準を0.1%低減できた。これにより、鶏雛の排泄リン量は約30%少なくなった(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 1.大麦、小麦は通常1000単位/kg程度のフィターゼ活性を有するが、麦類の品種によってその活性は若干異なる。
- オートクレーブ処理は、アミノ酸の分解が起こるため、フィチンリン含量が多く、
蛋白質供給源として飼料中に占める割合が比較的少ない飼料原料に有効である。
- 対照区と同等の飼養成績および趾灰分含量を得るためには、フィターゼ1000単位/kg程度の添加が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
大麦
小麦
飼料効率
飼料用作物
大豆粕
とうもろこし
鶏
品種
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