懸垂型送風機によるフリーストール牛舎の床面乾燥法

タイトル 懸垂型送風機によるフリーストール牛舎の床面乾燥法
担当機関 畜産試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 夏季におけるフリーストール牛舎の牛通路の床面乾燥を懸垂型送風機により行う場合,送風機を45゜に設置すると,設置しない場合の約1.8倍,90゜に設置した場合の約1.4倍の乾燥効果がある。シミュレーション結果より,地域別の水分除去量と床面気流速,床面積の関係が予測できる。
背景・ねらい フリーストール牛舎における含水率の高いふん尿が通路に貯留していることは、牛の滑
り事故、肢蹄病や乳房炎等の発生、ふん尿処理作業の負担増等の問題を引き起こす主な原因となっており、床面から積極的に水分を除去する技術が求められている。そこで懸垂型送風機を用いた床面乾燥の効果を検討した.また、シミュレーションによって、地域別(帯広、宇都宮、鹿児島)の水分除去量と床面気流速、床面積の関係を予測した。
成果の内容・特徴
  1. 千葉県Y社の実験フリーストール牛舎(搾乳牛24頭)を対象とし、送風機を設置しない場合、設置角度45゜、設置角度90゜(床面に水平)における舎内環境と床面含水率、乳量等を測定した。通路に敷料としておがくずと麦稈(1kg/頭)が散布された。水分除去量は舎外空気の状態量の影響を大きく受けるので、試験期間中の単位換気量当たりの空気が取り込み可能な最大水分量の積算に対する床面ふん尿1kg当たりの残留水分量の比という評価パラメータ、(FE)を作り効果を評価した。FEの値が小さいほど送風機の効果が大きいことを示す。(図1)に床面含水率の変化、表1にFE値、試験最終日の床面平均含水率と舎内平均アンモニア濃度を示す。FE値は送風機設置に対して有意(0.1%)で、送風機を45゜の角度で設置した場合に水分除去の効果が最も大きかった。
  2. 敷料間にも有意差(5%)が見られ、麦稈よりは、おがくずのほうが床面は乾燥した。
  3. アンモニア濃度は送風機設置法に有意差(5%)が見られ、送風機を傾けたほうが換気が促進され、舎内環境が改善された。
  4. シミュレーョン結果によると寒冷地域(帯広)では深夜から日の出後約1時間位までふん尿が空気中の水分を吸収してしまう場合があり、この間送風機を停止したほうが1日間の水分除去量は多くなった(図2)。夏季でも地域により夜間送風機を停止したほうが効果的に水分除去が行えることを示した。
  5. 温暖地域では空気の水蒸気圧が小さいので水分除去量が多い。ふん尿を含水率70%近くまで乾燥させるには、鹿児島では約5ms-1の気流が必要であることが予測された(図3)。
  6. 通路面積が広いほうが乾燥は促進され、鹿児島でその傾向は顕著であった。ふん尿を含水率70%以下に乾燥するには、3列のストール配置よりは、4列で通路面積を広く取った場合に達成される予測結果が得られた。それに伴い送風機の台数も増加した。
成果の活用面・留意点
  1. フリーストール牛舎内の床面乾燥に関する送風機の設置法の資料となる。
  2. 予測は床面に敷料が混入していない場合を仮定しているため敷料が混入した場合は乾
    燥効果が促進されるので、計算結果より床面気流速は小さく床面積も小さい値で床面含水率が70%以下になる。
図表1 226032-1.jpg
図表2 226032-2.jpg
図表3 226032-3.jpg
カテゴリ 乾燥 乳牛

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