共通飼槽ドアフィーダを組み合わせた給餌システム

タイトル 共通飼槽ドアフィーダを組み合わせた給餌システム
担当機関 畜産試験場
研究期間
研究担当者
発行年度 1996
要約 フリーストール方式での一群管理を前提として,共通採食エリアと試作した個体識別装置を組み込んだ個体別採食エリアとを組み合わせた給餌システムでの採食行動を調査し,その可能性を明らかにした。共通採食エリアと個体別採食エリアとに栄養水準差を設けることにより,個体別採食エリアでの採食行動が制御できた。
背景・ねらい わが国の酪農は、生産コストの低減化と労働生産性の向上を実現するためフリーストール方式の導入が進んでいる。しかし、フリーストール方式を導入している酪農家の5~6割程度は一群管理を行っており、個体毎の栄養管理が難しく、栄養の過不足が生じる問題が指摘されている。そこで、試作した簡易な個体識別装置を組み込んだドアフィーダと一般飼槽を組み合わせた給餌システムについて検討した。
成果の内容・特徴
    一般給餌柵による共通採食エリア、ドアフィーダによる個体別採食エリア、フリーストール(牛床)、ウオータカップ、通路で構成される3頭用の実験牛舎(図1)を設け、ホルスタイン種搾乳牛3頭(初産、2産)を供試して一般給餌柵区、ドアフィーダ区、併用区における採食行動を調査した。
    各試験区とも5~8日間の馴致を行った後、2日間を調査日として採食行動をタイムラップスビデオで長時間記録した。給餌方法は、TMR(混合飼料)を朝夕2回給餌の混合・不断給餌とした。
  1. 一般給餌柵区、ドアフィーダ区の採食行動 延べ採食時間では両区で差がなかったが、延べ採食回数では明らかにドアフィーダ区が少ない傾向を示し、採食行動が改善される結果を得た。
  2. 全ての牛がドアフィーダを利用できる併用区の採食行動 延べ採食時間では一般給餌柵区、ドアフイーダ区と有意差がなかったが、延べ採食回数が増加する傾向を示した。ドアフイーダの利用率は49~82%の範囲にあり、一般給餌柵とドアフィーダで栄養水準(l0kgの差を設定)を設定することで80%程度の利用率が確保できた(図2)。また、ドアフイーダに対応する牛の数が1基当たり1頭から3頭に増加するにしたがいドアフイーダの利用率が60程度まで減少した(図3)。
  3. ドアフィーダを利用できない牛が混在する併用区の採食行動 各試験区において常にドアフィーダで採食できる供試牛の延べ採食時間は利用できない牛の混在により若干減少した(図4)。ドアフィーダの利用率は66~81%の範囲にあり、社会的地位の影響が大きく、混在する牛の割合が異なる試験区間で有意差が生じたが、共通採食エリアと個体別採食エリアを組み合わせた給餌システムの可能性が認められた(図5)。
成果の活用面・留意点
  1. 共通採食エリア(一般給餌柵)と個体別採食エリア(ドアフィーダ)を組み合わせた一群管理システムを検討する基礎資科となる。
  2. 実用規模で実証試験を行い、ドアフィーダの最適数、適正な栄養濃度水準差を検討し、実用化を図る必要がある。
図表1 226033-1.jpg
図表2 226033-2.jpg
図表3 226033-3.jpg
図表4 226033-4.jpg
図表5 226033-5.jpg
カテゴリ 管理システム コスト 乳牛

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