タイトル | ミツバチ卵へのDNA注入を目的としたマイクロインジェクション法 |
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担当機関 | 畜産試験場 |
研究期間 | 1999~1999 |
研究担当者 |
天野和宏 木村澄 |
発行年度 | 1999 |
要約 | ミツバチに外来DNAを注入する目的で、卵へのマイクロインジェクション法を開発した。この方法でDNAを注入した卵は、高湿度35℃の条件で72時間後約60%が孵化する。 |
背景・ねらい | 形質転換体作成のため外来DNAを導入するには、卵へのマイクロインジェクションが一般的かつ実用的な方法である。しかし、ショウジョウバエを除く殆どの昆虫では、その技術が開発されていない。ミツバチにおいてもマイクロインジェクション法は確立しておらず、研究の進展を阻害してきた。ミツバチ独自の実用的なマイクロインジェクションの方法を検討する必要がある。 |
成果の内容・特徴 | この手順を遂行するにあたり、以下の点について留意して行う。 1. 卵の取り扱い:他の昆虫卵に比べ、ミツバチ卵は著しく壊れやすく、かつ温度の変化に弱い。このため特殊なローヤルゼリー採取用ケージを用いて卵を採取する。また実験室温を30℃に設定し、加湿器を常時使用する。 2. コリオン膜の扱い:卵のコリオン膜は除くことは可能であるが、膜自体が透明であり、また微針が貫通可能であるので、膜を除去することなしに、マイクロインジェクションは可能である。 3. 乾燥:乾燥しない卵はDNA溶液が吸収できず培養の過程で“パンク”してしまい、孵化しない。乾燥法はシリカゲルを使う方法がもっとも確実性が高く、乾燥時間は実験環境によって左右されるが、6分前後を最適である。 4. オイル:ミネラルオイルがもっとも孵化率が良い。シリコンオイルも孵化率が高いが、幼虫がコリオン膜から脱出できない。 5. DNA濃度:2000?g/ml 以下の濃度では卵の生存に影響しない。 6. 注入時期:産卵後3時間までの卵は著しく柔らしく注入は不可能である。また産卵後11時間後までに極細胞の形成が終了するのでそれ以前にマイクロインジェクションする必要があるが、そのような卵はコリオン膜と卵黄膜間に空隙があるので選択可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. このインジェクション法により、DNAなどの溶液を卵に注入することができる。オイルは孵化後の幼虫にとって有害であり、また働きバチの保育行動を阻害するので、オイルを速やかに確実に除去する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 乾燥 ぶどう ミツバチ |