日本ニワトコ樹皮レクチンの分子構造と糖鎖認識機構

タイトル 日本ニワトコ樹皮レクチンの分子構造と糖鎖認識機構
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約  シアル酸含有オリゴ糖の結合様式を含め、厳密に認識・結合するユニークな特性を持った日本ニワトコ樹皮レクチン(SSA)のcDNAクローニング解析を行い、このレクチンが猛毒性植物蛋白質であるリシン及びアブリンと高い相同性をもつことを明らかにした。
背景・ねらい  レクチンは特定の糖鎖を認識・結合する蛋白質であり、細胞間認識や生態調節など生体中で重要な役割を果たしていると考えられ、またその糖に対する特異的な結合を利用して、(複合)糖質の分離、分析に広く利用されてきている。本研究では、レクチンの糖鎖認識の機構を分子レベルで解明することを目的とし、レクチン分子中における糖鎖認識部位の解析及びcDNAクローニングによる一次構造の解析について検討した。
成果の内容・特徴
  1.  日本ニワトコ樹皮レクチンに対して高い親和性を有するオリゴ糖の存在下・非存在下で種々の化学修飾を行った結果から、レクチン中のチロシン及びヒスチジン残基が、高親和性オリゴ糖のシアル酸部分との相互作用に重要な役割を果していることを示唆した。
  2.  レクチンが活発に合成されている日本ニワトコ樹皮組織からmRNAを抽出し、λgt llファージを用いて、cDNAライブラリーを作成した。このライブラリーをアフィニティーカラムで精製した抗レクチン抗体でスクリーニングした結果、レクチンの全長をコードする1904塩基対、564残基のアミノ酸翻訳領域をもつクローンを得た。
  3.  このクローンとレクチンのサブユニット及び内部ペプチド鎖のN末端シーケンスとの比較結果から、レクチンを構成する異なる2つのサブユニットは、一本鎖のmRNA上にコードされ、翻訳後にプロテアーゼによるプロセシングを受けることが示唆された。
  4.  既知の蛋白質とのホモロジー検索の結果から、ガラクトース結合サブユニットとリボゾーム不活性化サブユニットから成るリシン及びアブリンと高い相同性を示した。このことから、本レクチンが分子進化上これらの毒性蛋白質とつながりをもつことが示唆された。
  5.  リシンの結晶構造上にSSAのアミノ酸残基を対応させ、置換、挿入等の処理を行った後、エネルギーミニマイゼーションして得たSSAの分子モデルは、リシンと極めてよく似通った骨格構造を持っていることが明らかになった。
成果の活用面・留意点  今後、大腸菌等によるSSAの大量発現系の検討を進めることにより、レクチン分子中の糖鎖認識に関する構造をタンパク工学的手法により解析することが期待される。
図1、図2
図表1 226145-1.gif
図表2 226145-2.gif
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