タイトル |
ディファレンシャル・ディスプレイ法による不定胚誘導条件下に発現する遺伝子の解析 |
担当機関 |
農業生物資源研究所 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
ナスの不定胚誘導条件下に特異的に発現する遺伝子を解析するために、ディファレンシャル・ディスプレイ法を適用した。同定した遺伝子の中に、腫瘍抑制遺伝子のホモログが見出され、構造上の特徴から転写調節因子の可能性が示唆された。
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背景・ねらい |
植物の不定胚誘導に関する実験系として、従来ニンジンが用いられてきたが、最近ナスを用いた実験系が確立され、分子レベルでの解析が行えるようになってきた。ナスの子葉切片からカルスを誘導する際に、誘導後5日目から形態的な変化が観察されるので、この頃に遺伝子発現の変化が予想される。しかしながら、遺伝子発現の量的変化は小さいと推定されたので、従来のサブトラクション法やディファレンシャル・スクリーニング法に代わる新たな解析法が必要であった。
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成果の内容・特徴 |
- 不定胚誘導時に特異的に発現する遺伝子を同定する新たな方法として、ディファレンシャル・ディスプレイ法(Liang and Pardee, 1992 Science 257:967-971)を適用した。
- ナスの子葉からカルス誘導後、4日目から顕著に発現が増加する遺伝子由来のPCR産物をオートラジオグラム上に検出した(図1)
。
- このPCR産物からcDNAをクローニングし、一次構造の結果から、その遺伝子産物の機能を推定した。
- 不定胚誘導時に特異的に発現する遺伝子の一つとして、ヒトのウイルムス腫瘍抑制遺伝子ホモログが同定された。この遺伝子産物は植物では転写調節因子として機能することが推定された(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
本研究において確立したディファレンシャル・ディスプレイ法は、遺伝子発現の経時的変化を迫跡する場合や組織特異的な遺伝子発現を同定する場合などに、より一般的に適用することが可能てある。ディファレンシャル・ディスプレイ法は現在のところ、技術的には未完成の方法なので、今後適用例を増やすことによって、徐々に改良していくことが期待される。
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図表1 |
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カテゴリ |
なす
にんじん
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