エリシターに応答する新たなイネ遺伝子の単離

タイトル エリシターに応答する新たなイネ遺伝子の単離
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1993~1993
研究担当者
発行年度 1995
要約  イネ(日本晴)の懸濁培養細胞はキチンオリゴマーをエリシターとして認識する。この実験系を用いてエリシターによって誘導される核遺伝子発現の変化を解析し、極めて短時間内に応答する新遺伝子2種を単離することに成功した。
背景・ねらい  イネ(日本晴)の懸濁培養細胞はキチンオリゴマーをエリシターとして認識しファイトアレキシンを産生することが知られている。この実験系が生化学的に極めて均一であることからエリシターに対する分子応答機構の解明に好適であると考え、本懸濁培養細胞を用いてエリシター応答のごく初期に起こる遺伝子レベルの変化を解析した。
成果の内容・特徴
  1. キチン7量体処理1時間後に細胞からpo1y(A)-RNAを抽出しその試験管内翻訳産物を2次元電気泳動で解析したところ、中・酸性領域において複数のスポットの出現が観察された。また異物認識・病害抵抗性に深く関わるフェニルアラニンアンモニアリアーゼmRNA量が処理1時間後には増大していた。これらのことからエリシターとしてのキチン7量体は1時間以内にイネ培養細胞の特定の核遺伝子を活性化することが明らかとなった。
  2. このようなエリシターに短時間内に応答する遺伝子の単離をサブトラクション法を用いて試みたところ2種類の遺伝子(EL2、EL3)をcDNAとして単離することに成功した。塩基配列解析の結果これらは分子量約11kD、35kDの塩基性ポリペプチドをコードしているものと推定された。データベース検索の結果これらはこれまでに報告されたどの遺伝子とも有意な相同性を有していなかった。
  3. これらのmRNA量はキチン7量体処理後3~6分で有意に増加した。
    (図1)
    (図2)
成果の活用面・留意点
  1. 単離された遺伝子は低濃度のキチンオリゴマーに短時間内に応答する性質があるため、これらのプロモーター領域は作物に導入された形質を人為的にコントロールする際に有用なものとなりうる。
  2. 単離された遺伝子のエリシターに対する迅速な応答の分子機構、さらにイネの異物認識機構全体の中でこれらの遺伝子が果たす役割等を解析することにより作物の異物認識・生体防御機構の理解に多大の貢献が期待される。
図表1 226160-1.gif
図表2 226160-2.gif
カテゴリ データベース 病害抵抗性

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