厳冬地帯適応小麦品種のハードニングステージと糖代謝の関係

タイトル 厳冬地帯適応小麦品種のハードニングステージと糖代謝の関係
担当機関 北海道農業試験場
研究期間 1995~1995
研究担当者
発行年度 1995
要約  小麦のハードニングステージは体内水分量の変化パターンより2期に分けられ、前期においては水分の減少に伴って耐凍性が増大する。後期は水分の減少よりは蓄積物質の影響が大きく、耐凍型品種では単・二糖類、耐雪型品種においては多糖類の蓄積へと代謝系を変換する。
背景・ねらい  小麦は厳寒地に適応する耐凍型品種と長期積雪地帯に適する耐雪型品種に分化していることが判明しているが、その生理的機構についての比較倹討は少ない。両タイプに中間型品種(北海道品種)と春播品種を加えて、耐凍性(LT50)、水分量、糖の種類別含量について圃場条件下でその推移を調査して、各品種の特徴が発現する過程を解析した。
成果の内容・特徴
  1. 小麦の耐凍性はハードニング期間中ほぼ直線的に増大する。水分量は氷点下気温となる11月中旬までは耐凍性に比例して減少するが、それ以降は水分減少はほぼ停止または微量となる。水分量の変化からハードニングステージは二分されることが認められる(図1)。すなわち、耐凍性はハードニング前期では水分の減少に伴い増加するが、後期は水分量とは関係が少なくなり、むしろ体内物質の影響を大きく受けることが推測される(図2)。
  2. 耐凍型品種(Valuevskaya)は単・二糖類、耐雪型品種(PI173438)は多糖類をより多く蓄積して行くことが、ハードニング期を通して認められる(図3、4)。その傾向はハードニング後期より顕著に現れ、耐凍型品種と中間型品種(チホクコムギ)は多糖類の蓄積を停止して単・二糖類の蓄積が顕著となる。対照的に耐雪型品種では多糖類の急激な蓄積が認められる。
  3. 耐凍型品種と耐雪型品種の生理的機構は不明な点が多かったが、本研究により両者の特色が顕著に示されたステージが明らかとなり、生理・分子生物学的研究の発展に寄与する。
成果の活用面・留意点 耐凍型品種と耐雪型品種の生理的視点からの判別はハードニング後期に実施するべきことが明らかとなった。また、このハードニングステージの分類は圃場条件での観察であるので、人工環境施設での実験系に利用するには新たな検討が必要である。
図表1 226165-1.gif
図表2 226165-2.gif
図表3 226165-3.gif
図表4 226165-4.gif
カテゴリ 寒地 小麦 品種

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