タイトル |
拮抗性シュードモナスの効率的検出法の開発と抗菌物質生産菌株の選抜 |
担当機関 |
農業生物資源研究所 |
研究期間 |
1990~2003 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
拮抗性シュードモナスを効率的に収集するために、選択培地とELISAを利用した直接的特異検出法を開発した。この方法により分離した菌株から、抗菌物質を産生し、発病抑制作用あるいは生育促進効果を示す菌株が選抜された。
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背景・ねらい |
環境調和型農業が推進される状況で、植物病害防除における農薬の多用を軽減す るために拮抗細菌等を利用した生物防除法の導入が注目されており、有効な拮抗 細菌の代表として、蛍光性または非蛍光性シュードモナスの選抜が試みられてい る。本研究では、土壌中および植物根圏に存在する多種多様な微生物群から、こ れらシュードモナス細菌を効率的に検出する技術を開発し、それらの拮抗特性を 解析し、有用微生物遺伝資源としての評価を行う。
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成果の内容・特徴 |
- 土壌および植物根圏から2種類の選択培地(S-PC-1培地、KMB+ 培地)上に形成された細菌集落について下記菌種に対する特異抗体を用いたELISA法を併用することにより、非蛍光性 Pseudomonas (= Burkholderia) cepacia と蛍光性 P. fluorescens、P. putida とをそれぞれ効率的かつ特異的に検出することができた(図1)。
- 分離されたそれぞれの菌種から各種の重要植物病原糸状菌(苗立枯病菌、萎ちょう病菌、 バーティシリウム病菌等)(図2-A)や病原細菌(トマトかいよう病菌、軟腐病菌、青枯病菌等)(図2-B)に対して抗菌活性を示し、それらの生育を阻害する菌株が選抜された。
- 拮抗細菌株で植物根を処理することにより、各種病原菌で汚染したモデル土壌において発病が抑制され、あるいは根部の生育が促進された(図3)。
- 選抜された有効菌株について、TLC、HPLC、NMR、MSおよびPCR等を用いて抗菌物質を検出した結果、蛍光性シデロフォア、HCNおよび 2,4-ジフロログルシノール(Phl)などを生産することが明らかになった(図4)。
- トランスポゾン(Tn5)挿入により抗菌物質生産能を喪失した変異株は、発病抑制効果を低下することが判明し、これらの抗菌物質が拮抗作用に関与している可能性が示唆された。
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成果の活用面・留意点 |
- 本検出法により、微生物農薬あるいは資材等の開発素材の効率的探索・収集が可能であり、また拮抗細菌の動態解析等、安全性評価法の手段として活用できる。
- 特性評価された有効菌株はジーンバンクに登録、保存し、微生物遺伝資源として広く利活用を図る。
- 今後、各種抗菌物質の生産性に関与する遺伝子の解析研究を進める必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
青枯れ病
遺伝資源
立枯病
トマト
農薬
評価法
防除
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