イネ・レトロトランスポゾンの単離と遺伝子機能解析への利用

タイトル イネ・レトロトランスポゾンの単離と遺伝子機能解析への利用
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 イネから初めて活性のあるトランスポゾン(レトロトランスポゾン)を単離した。このトランスポゾンは通常静止状態にあるが、培養によって活性化され培養変異を誘発することが示された。また、このトランスポゾンを利用することにより、ゲノム解析により構造の明かとなった大量のイネ遺伝子の機能解析が可能となった。
背景・ねらい 近年、トランスポゾンは植物における遺伝子解析の有効な手段として注目されて
いるが、これまでトウモロコシやキンギョソウなどの極く限られた植物でしかそ
の存在が知られていなかった。本研究は、わが国の主要作物であるイネから活性
のあるトランスポゾンを単離し、その諸性質を明らかにするとともに、遺伝子単
離や遺伝子機能解析等への利用技術の開発を目的とする。
成果の内容・特徴
  1. これまでに開発された方法(Hirochika, 1993)をイネに適用し、培養により活性化されるイネのレトロトランスポゾンTos17の単離に成功した。Tos17はイネで最初の転移活性を有するトランスポゾンである。Tos17は培養条件下でのみ転移が活性化され、培養期間に比例してコピー数が増加する(図1)。
  2. Tos17の挿入部位の塩基配列の解析からTos17が遺伝子領域に選択的に転移する性質を有していることが示された。このことによりレトロトランスポゾンの活性化が培養変異の一因になっていることが初めて証明され、Tos17が遺伝子単離に利用できることが示された。
  3. 多数の再分化イネからDNAを抽出し、PCRにより任意の遺伝子の挿入変異体の選抜を行った。その結果、転写調節因子やプロテインキナ-ゼの遺伝子にTos17の挿入された変異体が同定された。これらの変異体の形質を評価することにより、原因遺伝子の機能を明らかにすることが可能である(図2)。以上の結果により、Tos17がゲノム解析により構造の明らかとなった大量のイネ遺伝子の機能解析のための強力な武器となりうることが示された。
成果の活用面・留意点 培養によって活性化されるレトロトランスポゾンは、PCR法を用いて容易に単離
可能であり、今後多くの植物で同様な性質を有するレトロトランスポゾンが単離さ
れ遺伝子解析に貢献するものと期待される。
図表1 226175-1.jpg
図表2 226175-2.jpg
カテゴリ とうもろこし

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