Rubisco小サブユニットのアンチセンス植物の作製と光合成特性の解明

タイトル Rubisco小サブユニットのアンチセンス植物の作製と光合成特性の解明
担当機関 [部会名]
研究期間 1996~1998
研究担当者
発行年度 1996
要約 リブロース二リン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)の小サブユニットのcDNAをイネに導入し、多数のアンチセンス植物を作出した。非組換え体の約65%のRubisco含量の減少を示した組換え体を選抜し光合成特性を調査したところ、高CO2条件で高い光合成活性を示した。
背景・ねらい 現在のCO2濃度条件での光合成の律速段階は、リブロース二リン酸カルボキシラーゼ(Rubisco)
による無機炭酸の同化であると考えられている。従って、現在のCO2条件で光合成を行うために、
植物は葉身窒素の多くをRubiscoに投資しなければならない。しかし、高CO2条件におかれた細
胞では、Rubiscoは過剰となり律速因子ではなくなる。植物はRubiscoへの投資の必要性から解放
され、窒素養分を他の細胞成分へ回すことができるようになると予想できる。
本課題では、Rubisco小サブユニット遺伝子の導入により作出した組換え体の解析により、CO2濃度変化に適した窒素分配の改良の可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. Rubisco SSU cDNAをアンチセンス方向にイネに導入し、多数の組換え体(アンチセンス
    植物)を作出した。
  2. アンチセンス植物のRubisco含量の減少は組換え体毎に異なり、非組換え体Rubiscoの10-70%
    に相当するものであった。
  3. 理論上適切と考えられるRubiscoの減少がみられた組換え体を選抜し、T2世代のRubisco量を
    測定したところ、減少していた個体と非組換え体と等しい含量を示す個体に分離し、約3:1の
    比を示した。従ってcDNAはひとつの座位に挿入されたものと推察できる。この系統のT2植物
    のRubisco量の減少は、非組換え体の約65%であった(図1)。
  4. T2世代のアンチセンス植物の光合成特性は、予想どおり低CO2(0.03%)条件では非組換え
    体よりも低かった。しかし、高CO2条件におけるアンチセンス植物の光合成特性は、非組換え体
    より10-20%程度高い値を示した(図2)。
  5. 以上の結果は、Rubisco量の減少により窒素が他の光合成律速因子へ分配され、高CO2条件
    での光合成速度を高めるに至ったものと理解できる。事実、アンチセンス植物では、クロロ
    フィル量の増加やチラコイド成分の増加が確かめられ、この可能性を支持している。
成果の活用面・留意点 地球規模のCO2濃度上昇の対策に寄与する知見・素材となる。全生育期間、高CO2条件でアンチセンス植物を栽培したときの成長特性等の調査しなければならない。
図表1 226178-1.gif
図表2 226178-2.gif
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