遺伝子組換え技術を利用した高ショ糖合成バレイショの作出

タイトル 遺伝子組換え技術を利用した高ショ糖合成バレイショの作出
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 ショ糖合成系の鍵酵素であるショ糖リン酸合成酵素(SPS)をトウモロコシから単離し、35Sプロモーターと連結してバレイショに導入することにより、SPS活性が5倍に上昇し、塊茎重が約30%増大した形質転換植物を作出した。
背景・ねらい 葉内のショ糖合成に重要な役割を果たすショ糖リン酸合成酵素(SPS)は、光
合成産物の分配を制御しているとともに、生長速度にも影響を及ぼす因子と考え
られている。本研究では、SPS遺伝子を単離した後、発現効率の高いプロモー
ターに連結したキメラ遺伝子をバレイショ等に導入した形質転換植物を作出し、
過剰発現させたSPS遺伝子の炭素分配及び物質生産に対する影響を検討する。
成果の内容・特徴
  1. トウモロコシ由来のSPS遺伝子を改変35Sプロモーターに連結し、アグロバクテリウム感染法で導入したバレイショを作出した。
  2. 当代の解析の結果、野生型の約3倍のSPS活性を持つ形質転換植物が得られた。
  3. 当代の塊茎から得られた植物体のSPS活性は昼間及び夜間で、最大でそれぞれ4.5倍と約2.5倍であり、トウモロコシSPSの特徴である光活性化が形質転換ジャガイモでも認められた。このことは、トウモロコシのSPSタンパクのリン酸化ー脱リン酸化に関わるシステムがバレイショにも存在することを示している。
  4. トウモロコシ由来のSPS遺伝子を導入することで、ショ糖量が増大するとともにデンプン量が大きく減少した。すなわち、SPSの過剰発現によってデンプンを大量に葉内に蓄積するというバレイショ本来の性質が変化した。
  5. SPSの過剰発現によって、地上部(葉+茎)の乾物重が増大している系統、塊茎の乾物重が増大している系統及び両者が増大している系統が見られた。
  6. 高温に適応しているトウモロコシのSPS遺伝子の温度反応性が形質転換バレイショにも発現していた。
図1図2図3
成果の活用面・留意点 乾物生産に影響を及ぼす形質転換植物はまだ殆ど得られていない。今回、作出さ
れたバレイショはSPSと乾物生産の因果関係をより明確にするための研究素材
として活用できるとともに、乾物生産向上を目指すための有望な育種素材にもな
ると考えられる。今後、圃場レベルでの試験を行って収量への影響を検討する必
要がある。
図表1 226179-1.gif
図表2 226179-2.gif
図表3 226179-3.gif
カテゴリ 育種 とうもろこし ばれいしょ

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