タイトル |
日本陸稲品種のいもち病圃場抵抗性に関与するQTLの検出 |
担当機関 |
農業生物資源研究所 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
RFLPマーカーを用いた解析により、陸稲品種オワリハタモチ由来のイネいもち病圃場抵抗性に関与するQTL(量的形質遺伝子座)が、第2、4および12染色体に存在することを明らかにし、遺伝的背景を改良した準同質遺伝子系統を育成中である。
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背景・ねらい |
イネいもち病に対する抵抗性は真性抵抗性と圃場抵抗性に分けられる。真性抵抗性は作用力が大きいが抵抗性が崩壊する危険性があるため、圃場抵抗性と組み合わせることにより抵抗性の安定化を図る必要がある。圃場抵抗性の発現には複数の遺伝子が関与しているため、これまでの交雑育種では、遺伝子供給源である陸稲品種の持つ劣悪形質を抵抗性の個体から除去することが困難であった。 わが国の水稲品種のいもち病圃場抵抗性を飛躍的に向上させるためには、陸稲品種の圃場抵抗性に関与する遺伝子の正確な座乗位置や個々の遺伝子の作用力を評価した上で利用することが重要な課題である。
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成果の内容・特徴 |
- QTL解析により第4染色体のRFLPマーカーG271付近にオワリハタモチ由来の大きなLOD値(図1脚注参照)を持つ領域が検出された。 その他、第2、12染色体および第4染色体の別の領域にもオワリハタモチ由来のLOD値が2.0以上の値を示す領域が検出された(図1) 。 第9染色体のRFLPマーカーG103付近にLOD値2.0を持つ日本晴由来のQTLが検出された。
- 日本晴/オワリハタモチF3より選抜した個体に罹病性品種愛知旭を連続戻し交雑し、RFLPマーカーにより第2、4、12染色体上のQTLを保有するBC1F1[日本晴/オワリハタモチ(F3)//2*愛知旭]個体を選抜した(表1)。BC1F2集団でいもち病圃場検定を行ったところ,各集団で愛知旭よりも抵抗性の強い個体が分離し、 BC1F1個体に圃場抵抗性遺伝子が導入されたことが確認された(図2)。
- DNAマーカーを利用して陸稲品種が保有する圃場抵抗性遺伝子を水稲品種に効率的に導入することが可能であると考えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本研究により検出したRFLPマーカーは陸稲品種が保有するいもち病圃場抵抗性を水稲品種に効率的に導入するために活用できる。
- いもち病圃場抵抗性を保有し、遺伝的背景を水稲品種に置換しつつある準同質系統は、いもち病圃場抵抗性育種における育種素材として活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
いもち病
DNAマーカー
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
陸稲
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