植物カタラーゼ遺伝子の分子進化の機構と野生稲の新しい分類

タイトル 植物カタラーゼ遺伝子の分子進化の機構と野生稲の新しい分類
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1997
要約 遺伝子構造の比較から、植物のカタラーゼ遺伝子群の分子進化の過程を推定した。さらにカタラーゼ遺伝子の構造を指標にしてアフリカ野生稲の遺伝的多様性を明らかにし、これを利用したアフリカ野生稲の新しい分類に利用できる。
背景・ねらい 植物にとって垂要な酵素の1つであるカタラーゼは、構造のよく似た3~4種類の遺伝子によってコードされており、そのエキソンーイントロン構造の比較を行うことにより、カタラーゼが進化の過程においてどのように多様化してきたかを調べる。またイネO.sativaカタラーゼ遺伝子のCatA第2イントロンは、他の植物カタラーゼ遺伝子には見られないことから、植物の進化のどの時点で形成されたかを推察する。さらにこのイントロンを指標として、イネの多様性や系統間の違いについて明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 高等植物のカタラーゼ遺伝子は8つのエキソンと7つのイントロンから成る祖先遺伝子から由来し、いくつかのイントロンは進化の過程で欠失したと考えられるが、O.sativaカタラーゼ遺伝子CatA第2イントロン(intron-2)は、例外的に獲得したものであるらしいことがわかった(図1)。
  2. ヒエ、タケ、コムギなどイネ科植物24種類のDNAを用いたPCR解析の結果、intron-2は進化の過程においてイネの祖先種とコムギやオオムギなどの属するPooideae亜科の祖先種が分岐した後に、イネの祖先種で獲得されたものと推測された。さらにintron-2はAAゲノムを有するイネにのみ見られたことから、AAゲノムイネの共通祖先種と他のゲノム構成のイネの祖先種が分岐した後に、AAゲノムイネの共通祖先種で獲得されたものと推定された。
  3. O.longistaminata (アフリカ野生稲)6系統のDNAのPCR解析の結果、系統間でイントロンの長さに違いがあり、複数のCatA 様遺伝子を含む系統があることがわかった。イントロンの長さと数から、O.longistaminata 系統をタイプ1、2、3に分類した。
  4. イントロン付近の塩基配列の比較から、O.longistaminata 系統タイプ1のC104075、C105204、C105198の各遺伝子とタイプ3のC104977由来の2遺伝子のうちの1つ(CatA1)が同じクラスター内に含まれ、進化的に近縁であることが示された(図2)。
成果の活用面・留意点
    O.sativa intron-2に相当するイントロンは、O.longistaminata系統を細分するための指標として適している。
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図表1 226199-1.gif
図表2 226199-2.gif
カテゴリ 大麦 ひえ

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