タイトル |
イネ科植物体上より分離された日本産新規フザリウム属菌 |
担当機関 |
農業生物資源研究所 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
イネ科植物体上に生息する日本産フザリウム属菌の分離、分類・再評価を行い、32種2変種を再確認すると共に、2新種、1日本新産種を明らかにした。本属の分類学上では新規の形態形質と、形質評価に必須の光条件の組合せを見い出した。
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背景・ねらい |
フザリウム(Fusarium )属菌はイネ科植物をはじめとした様々な作物の病原糸状菌で、収量の低下にとどまらずカビ毒等により時に甚大な被害をもたらす。これらの防除にはまず分類法を確立することが必要であるが、日本産フザリウム属菌は欧米での鑑別基準との差が大きく分類が難しかった。このため、形態学的解析をより詳細に行うと共に分子系統学的解析を適用することで、最新の分類体系に沿って再分類・評価することを目的とした。また、欧米に比べて分類研究が著しく立ち後れた日本産フザリウム属菌を再整理し、その知見及び菌株を世界的スケールで進められる本属菌の分類体系構築の研究材料に加える。
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成果の内容・特徴 |
- 日本各地より採取したイネ科作物等より約500菌株のフザリウム属菌を分離した。分離・受入れ菌株を再同定し、32種2変種の日本産フザリウム属菌の存在を再確認し、その内には3新種及び3日本新産種、近年他属への転属された2種1変種が含まれた。
- 2新種(Fusarium nisikadoi, 図1、およびF. kyushuense, 図2)について公式の新種記載を行うとともに、1日本新産種(F. globosum, 図3)を発表した。後者は南アフリカに次いで本種の第2発見報告である。
- 本属菌では新規の形態形質である多細胞性の小分生子連鎖をF. nisikadoi が形成した(図1)。また、F. globosum鑑別形質である大分生子と球形小分生子の確認には、近紫外光照射と完全暗黒の両条件の適用が必須であることを明らかにした。
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成果の活用面・留意点 |
日本産分離菌株は農林水産ジーンバンクに登録し、研究材料として一般への提供を進めている。新種、日本新産種並びに日本産菌株はその分類学的知見と共に公開され、世界的スケールで進む本属菌の分類体系構築の素材の一部として活用されている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
光条件
防除
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