タイトル |
形質転換植物を用いたジーンサイレンシングの解析 |
担当機関 |
農業生物資源研究所 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
ウイルスの外被タンパク質(CP)遺伝子を導入したタバコで遺伝子発現量の抑制された(ジーンサイレンシング)系統を選び、mRNAの分解が、その3'末端領域あるいは全領域を標的とする2種のタイプのあることを見出した。DNAのメチル化は、標的領域の塩基配列で顕著であり、mRNA分解とメチル化の関連性を明らかにした。
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背景・ねらい |
外来遺伝子を導入することにより有用な作物を創出することが可能になったが、これらの知見が蓄積するに従って、導入遺伝子が染色体に存在するにも関わらず、ねらい通り発現しない例がみられるようになった。これはジーンサイレンシングと呼称され、ゲノムがもつ遺伝子の発現抑制機能の一つである。このような現象は、遺伝子導入による有用作物の作出にとり阻害要因となる。本研究においては、形質転換植物を用いて、ジーンサイレンシングの実態を把握し、それらの特徴を明らかにするとともに、遺伝子の安定的発現に役立つことをねらいとした。
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成果の内容・特徴 |
- サツマイモ斑紋モザイクウイルス(SPFMV)の外被タンパク質(CP)遺伝子を導入したタバコにCP配列をもつ組換えウイルスを接種することにより、ジーンサイレンシング系統を選抜した。
- ジーンサイレンシング系統の多くは、一般にCP mRNA及びCPの蓄積量が低いかあるいは検出限界以下であった(図1)。
- 上記ジーンサイレンシング系統は、CP mRNA分解が、CPの全領域を標識とするグループ(I)と、3'末端側約400塩基数を標的とするグループ(II)に分けられた。
- ジーンサイレンシングのほとんどの系統(6系統)が2コピー以上CP遺伝子が導入され、1コピーは1系統のみであった。
- 導入遺伝子DNAのメチル化の程度を調べた結果、グループIではCP遺伝子の全体で、グループIIでは3'末端側でメチル化の程度の高いことが明らかとなった(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
本研究で得られた知見とシステムは、ゲノム機能としてのジーンサイレンシング機構の解明及び標的領域の塩基配列の改変等による安定的発現技術の開発に結びつくことが期待される。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
たばこ
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