エニシダの照射培養による矮性突然変異の誘発法

タイトル エニシダの照射培養による矮性突然変異の誘発法
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1998~2001
研究担当者
発行年度 1998
要約 エニシダの安定した再分化が可能な培養法を開発し、培養外植片にガンマ線照射を行い、その再分化個体には照射線量に応じた矮性突然変異体が高頻度で誘発され、効率的な放射線育種法が開発された。
背景・ねらい エニシダは西欧では庭園樹として利用されてきたが、高温多湿の日本の気候では樹が伸びすぎて樹型がくずれ、また刈込みの労力を要する欠点があった。そこで、緑化樹や庭園樹として新たな用途を広げるために、矮性の突然変異品種の育成をめざした。まず組織培養と放射線照射方法を開発し、細胞レベルでの変異を拡大し、高い頻度で突然変異体を誘発する放射線育種法の開発をねらいとした。なお木本類の培養再分化は一般に困難で、培養系の放射線育種はほとんど報告例がなかった。
成果の内容・特徴
  1. エニシダの花弁、幼胚および腋芽を外植片として、カルスまたは多芽体を誘導し、さらには培地の調整により、苗条や植物体へ自由に分化制御できる培養法を開発した。適正な継代培養により、培養体は1年間以上にわたり再分化能を維持できた。
  2. エニシダの莢から摘出した幼胚または花弁を培養し、60Co線源のガンマ線を急照射した後、カルスを誘導し多芽体を経由して、再分化個体を育成した。
  3. 急照射培養体からの再分化個体では,照射線量が高まるにつれて、樹高が明瞭に低くなり、樹形が偏円形から円形に変異する個体が高頻度で現われた(図1、2)。樹高と樹形の両面より目的とする矮性変異体の誘発には、50~100Gyが最適線量であった。
  4. 突然変異6品種が育成され、いずれも原品種に比べて樹高が低く、ユニークな樹型になり、着葉が密で常緑性であり、花色も変化に富んでいる(表1、図3)。
この放射線育種法は、培養再分化が可能な花木や緑化樹などに応用ができ、矮性や低木性の植物を短期間で得ることができる。また、培養法は種苗の大量増殖技術としても利用でき、「エニシダ属植物の組織培養法および種苗の大量増殖法」として特許登録された。
成果の活用面・留意点 この放射線育種法は、培養再分化が可能な花木や緑化樹などに応用ができ、矮性や低木性の植物を短期間で得ることができる。また、培養法は種苗の大量増殖技術としても利用でき、「エニシダ属植物の組織培養法および種苗の大量増殖法」として特許登録された。
育成品種は登録または申請が受理され、普及に向けて増殖が進められている。栽培上の留意点としては、水はけがよく、日当たりのよい場所を選ぶことであり、脊薄な土地にも広く適応できる。
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カテゴリ 育種 品種

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