タイトル |
イネカタラーゼ遺伝子群の発現調節機構の多様性の解明とその利用法 |
担当機関 |
農業生物資源研究所 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
1つの祖先遺伝子から由来すると考えられる3つのイネカタラーゼ遺伝子は、発現特異性に違いのあることが明らかになった。発現特異性に寄与するプロモーター領域は、有用遺伝子を組織・器官特異的に発現させるのに利用できる。
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背景・ねらい |
高等植物において、有害な過酸化水素を分解する酵素の1つであるカタラーゼは遺伝子ファミリーを形成していて、イネでは3つのアイソザイム遺伝子をもっている。これらのアイソザイム遺伝子は進化の過程において1つの祖先遺伝子が重複して形成されたと考えられているが、それぞれ植物体内で異なる役割を担っていると思われる。本研究では、3つのイネカタラーゼ遺伝子の発現特異性の解析を行い、発現調節機構の多様性について明らかにすることを目的とする。
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成果の内容・特徴 |
- 3つのイネカタラーゼ遺伝子(CatA、CatB、CatC )の発現量を調べたところ、幼苗では、CatA、CatB、CatCmRNAはそれぞれ葉鞘、根、葉身で多くみられた(図1)。一方、開花期のイネでは、CatA とCatCmRNAはそれぞれ穎花と葉身で多く、CatBmRNAは調べたすべての器官でわずかに検出された。
- 発現を経時的に調べた結果、CatAmRNA量は規則的な日周変動を示し、明期移行後10~14時間で発現量のピークがみられた(図2)。連続明期または連続暗期の条件下では発現量が減少し、mRNAの日周変動に乱れが生じた。
- CatCmRNA量は連続暗期の条件下の葉身においてのみ規則的な日周変動がみられ、CatA とは異なる日周変動パターンを示した(図3)。CatBmRNA量は日周変動を示さなかった。
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成果の活用面・留意点 |
- 3つのイネカタラーゼ遺伝子は発現調節機構に違いのあることが明らかになった。イネの遺伝子との塩基配列の類似性から、他の単子葉植物のもつ各カタラーゼアイソザイム遺伝子はそれぞれどんな発現特異性を有するのか推測することができる。
- イネカタラーゼ遺伝子の発現特異性に寄与するプロモーター領域は、任意の有用遺伝子を組織・器官特異的に発現させるのに利用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
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