スペルミンは感染防御応答を誘導する生理活性物質である

タイトル スペルミンは感染防御応答を誘導する生理活性物質である
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 1999~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 壊死病斑の形成は、植物が病原体を感染細胞に封じ込めるための抵抗性反応である。これに伴って細胞間隙に分泌される新たな生理活性物質としてスペルミンを同定した。スペルミンはPR遺伝子群を誘導し、TMVに対する抵抗性を誘導した。
背景・ねらい 病原体感染による病斑形成は、植物の典型的な抵抗性反応であり、病斑形成の機構、お
よび病斑形成による抵抗性発現の機構の解明が重要と思われる。我々は病斑形成に伴って宿主植物にどの
ような機構で抵抗性が誘導されるかを調べるうちに、既知のシグナル伝達系によらない、別の系が働いて
いるという実験結果を得た。そこで、新しいシグナル伝達系の実態を明らかにすることを目的として実験
を行った。
成果の内容・特徴
  1. TMV(タバコモザイクウイルス)に感染したTMV抵抗性のタバコには壊死病
    斑が形成されるが、これに伴っ て、抵抗性獲得のマーカー遺伝子として使われているPRタンパク質遺伝
    子の発現がおこる。この遺伝子発現を誘導する新たな低分子生理活性物質を同定した。
  2. これはポリアミンの一種であるスペルミンであり、病斑形成に伴って細胞間隙に蓄積することが明ら
    かになった。
  3. スペルミンはサリチル酸とは無関係に、酸性PR遺伝子のみならず塩基性PR遺伝子発現を誘導する
    こと、さらに我々が新規に単離した、既存のシグナル物質によっては誘導されない2種のタバコペルオキ
    シダーゼ遺伝子の発現も誘導することが明らかになった。(図1)
  4. スペルミンを処理したタバコ葉は、TMV感染に対して抵抗性を示した。(図2)
成果の活用面・留意点 スペルミンが新たなシグナル物質として同定された。これは植物の病傷害ストレス応答のメカニズムの解析の大
きな手がかりとなると思われ、病傷害ストレス耐性植物作出のための基礎的な知見が得られ
るものと考えられる。今後、さらに未知のシグナル物質の探索をする必要がある。
カテゴリ たばこ 抵抗性

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