アワの遺伝的変異とその地理的分布

タイトル アワの遺伝的変異とその地理的分布
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 2000~2003
研究担当者 奥野員敏(北海道農業試験場
植物探索研)
地域基盤研究部)
中山博貴
長峰司(遺伝資源第一部
発行年度 2000
要約 アワの主要な種子貯蔵タンパク質であるプロラミンの遺伝様式を明らかにするとともに、遺伝的多様性を解析した。プロラミン対立遺伝子を指標とすると、中国、朝鮮半島および日本を含む東アジアがアワの多様性中心である。
背景・ねらい  アワ(Setariaitalica(L.)Beauv.)は主としてユーラシアの温帯地域およびアフリカに広く分布するイネ科キビ亜科の作物であり、現在も中国、朝鮮半島およびインドにおいては重要な作物の一つである。アワの多様な遺伝資源を効率的に探索・収集することによって、その遺伝的変異を保存するためには、遺伝的多様性の地理的変異を解析し、探索・収集の対象とするべき遺伝的多様性の大きい地域を明らかにする必要がある。そこで本研究では、多型性の高い遺伝的マーカーである種子貯蔵タンパク質の対立遺伝子を用いて、アワの遺伝的多様性の地理的変異を解析した。
成果の内容・特徴
  1. ユーラシアおよびアフリカに由来するアワ品種562点を供試し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて種子貯蔵タンパク質の種内変異を解析したところ、アルコール可溶性画分であるプロラミンの泳動像に変異が見出された(図1)。供試したアワ品種を多型的なプロラミンバンドの組合せに基づいて分類した結果、これらは11種類の泳動像型に分類された。
  2. 泳動像型の異なる品種間で交配を行い、得られたF2種子を供試して多型的なプロラミンバンドの遺伝解析を行った。その結果、泳動像型の変異は2個の遺伝子座Pro1およびPro2に座乗する8個の対立遺伝子に支配されていることが明らかになった(図2)。
  3. Pro2座対立遺伝子のうちPro2bはユーラシア大陸の温帯地域に、Pro2cは東アジアに、Pro2fは熱帯・亜熱帯地域に高い頻度で見出された(表1)。他方、Pro1座の対立遺伝子の地理的分布にはそのような地域的な特徴は見出されなかった。
  4. プロラミン遺伝子座における対立遺伝子型の出現パターンから、アワの多様性中心は中国、朝鮮半島および日本を含む東アジア地域であると考えられた。
成果の活用面・留意点 今後、アワの多様な遺伝資源を効率的に探索・収集し、その遺伝的変異を保存するために、種子貯蔵タンパク質遺伝子は多様性解析マーカーの一つとして利用できる。
カテゴリ 亜熱帯 あわ 遺伝資源 きび 品種

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