接木によるジーンサイレンシングの移行

タイトル 接木によるジーンサイレンシングの移行
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者 園田昌司
西口正通
発行年度 2000
要約 転写後にmRNAが分解されるジーンサイレンシング(PTGS)を示す系統に接木した非PTGS系統にはPTGSが誘導され、一度誘導されたPTGSは供試PTGS系統を非形質転換植物に換えても維持された。PTGSは上下両方向に移行するが前者の方が効率的であった。PTGS誘導の前後で非PTGS系統における導入遺伝子のメチル化の程度は変化しなかった。
背景・ねらい  ジーンサイレンシングは遺伝子の発現が抑制される現象であるが、転写が抑制される場合と転写後mRNAが分解される場合がある。このようなジーンサイレンシングは過剰な遺伝子の発現をゲノムが自ら抑制する機能であり、有用作物の開発あるいはジーンサイレンシングを利用した未知遺伝子の機能解明にとり重要な役割を果たすことが期待されている。しかしその機構については不明の点が多い。本研究においては形質転換植物を用い、ジーンサイレンシングが接木により非サイレンシング系統に移行する現象を解析し、ジーンサイレンシングの機構解明に役立てることをねらいとする。
成果の内容・特徴
  1. サツマイモ斑紋モザイクウイルス(SPFMV)の外被タンパク質(CP)遺伝子を導入したタバコについて、本遺伝子が転写後に抑制されるジーンサイレンシング(PTGS)を示す系統と非PTGS系統を用いて接木を行った。その結果、サイレンシング系統を台木に非サイレンシング系統を穂木にすると、接木後3~4週間で非PTGS系統にPTGSが誘導された(図1)。
  2. PTGS系統から非PTGS系統へのPTGSの誘導は台木と穂木を逆にしても起こった。PTGSは上下の両方向に移行するが、前者の方が効率的であった。
  3. 一度非PTGS系統に誘導されたPTGSは非PTGS系統、あるいは非形質転換植物に接木しても維持された。
  4. 非PTGS系統のメチル化レベルは接木後PTGSが誘導されても変化しなかった(図2)。
  5. 非PTGS系統に誘導されたPTGSにおけるmRNA分解の標的領域は、誘導に用いられたPTGS系統の標的領域によって決定された。
  6. 以上の結果は、PTGS系統からPTGSのシグナルが生産され、接木によって移行し、非PTGS系統にPTGSを誘導することを示唆する。
成果の活用面・留意点 本研究で得られた知見は、ジーンサイレンシング機構の解明と遺伝子発現の安定的制御技術の開発に結びつく。
カテゴリ 台木 たばこ

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