低グルテリン水稲新品種候補系統「エルジーシー1」

タイトル 低グルテリン水稲新品種候補系統「エルジーシー1」
担当機関 農業生物資源研究所
研究期間 2000~2000
研究担当者 西村 実
西尾 剛
飯田修一
堀末 登
井辺時雄
坂井 真
草場 信
宮原研三
発行年度 2000
要約 水稲「エルジーシー1(わん)」は中生の粳種で種子蛋白質のうち可消化性蛋白質であるグルテリンが通常品種に比べて1/2以下に減少しており、蛋白質の摂取制限を必要とする腎臓病患者の食事療法用主食として利用が期待される。
背景・ねらい  高齢化に伴い腎臓病患者が増加しており、透析治療等の医療費の高騰が社会問題化している。腎臓病の進行を抑えるには蛋白質の摂取を少なくする食事療法が広く行われており、米からの蛋白質摂取量を抑えるために、窒素施肥量を制限した栽培法や加工による蛋白質除去等により低蛋白質米が作られているが、高コストであるため低蛋白質品種が求められている。そこで、種子の可消化性蛋白質の一つであるグルテリンが減少した低蛋白質品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. エルジーシー1は昭和63年に放射線育種場においてグルテリン含量が通常の米に比べて1/2以下に減少したニホンマサリの突然変異系統NM67を母とし、ニホンマサリを父として交配した後代から育成された系統である(表1)。
  2. 出穂期および成熟期は「ニホンマサリ」並の“中生種”に属する粳種である(表1)。
  3. 稈長は「ニホンマサリ」並でやや短く、穂数はやや多い“偏穂数型”である。耐倒伏性は“やや強”で収量性は「ニホンマサリ」並の“やや多収”である(表1)。
  4. 葉および穂いもち圃場抵抗性は“中”、穂発芽性は“やや難”である(表1)。
  5. 玄米品質は「ニホンマサリ」並の“中上”である。食味は「ニホンマサリ」より劣る“中中”である(表1)。
  6. 通常品種に比べて可消化性蛋白質のグルテリンが1/2以下に減少し、難消化性蛋白質のプロラミンが2倍程度に増加することにより、可消化性蛋白質は全体で25%程度減少している(表1)
  7. 臨床試験の結果、米の摂取量の多い患者では腎機能の低下程度の遷延化が認められ、エルジーシー1の使用により食事療法がし易くなることが明らかとなった(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 腎臓病患者の食事療法用の主食として利用が期待される。
  2. 農業諸特性がニホンマサリに類似していることから、中国、近畿、東海から関東に至る広い地
    域に適応すると考えられる。
  3. 異品種の混入を避ける。
カテゴリ 育種 加工 コスト 新品種 水稲 施肥 抵抗性 品種 良食味

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