タイトル |
果実採取用桑品種「ポップベリー」 |
担当機関 |
(独)農業生物資源研究所 |
研究期間 |
1999~2001 |
研究担当者 |
山ノ内宏昭
小山朗夫
町井博明
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発行年度 |
2001 |
要約 |
桑品種「大唐桑」にコルヒチン処理を行って育成した桑新品種「ポップベリー」は、植え付け翌年から果実の収穫が可能なばかりでなく、従来みられなかった大粒果で、豊産性であることから、果実採取用に適する。
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キーワード |
桑、果樹、アントシアニン、地域特産品
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背景・ねらい |
桑はこれまで蚕の飼料作物として位置付けられてきたが、近年は多目的利用についても研究が進められており、特に食材化については、既に桑茶、ジャムなど、商品化されているものも見受けられる。 このような背景から、当研究所で遺伝資源として保存している桑品種・系統の中から果実生産に適するとみられる数品種を摘出し、公表したところ、それらを地域活性化の素材として利用したいとの要望が多数寄せられている。そこで、桑果実生産の普及を図るため、果樹としての適性をさらに強化した新品種の育成を図る。
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成果の内容・特徴 |
桑新品種「ポップベリー」は、遺伝資源として保存されている桑品種・系統の中から、果実生産用に有望な品種として摘出されている「大唐桑」のポット植えの株にコルヒチン処理を行い、倍加している可能性が最も高いとみられる1枝を翌春接木法により増殖し、果実特性等について調査を行った結果、育成されたものである。 「ポップベリー」は2倍体と4倍体の細胞が混在する混数体であり、2倍性細胞に比べて4倍性細胞が多く存在する。組織学的観察から、生長円錐の第一層のみが2倍体で、第二層以下が4倍体の安定した周縁キメラであると推定される。 本品種は開花年限に達するのが早く、植え付けた翌年から果実収穫が可能である。植付4年目の着果数は、育成素材の「大唐桑」より少なくなっているが、果実が大粒化して約7gに達しているため、収量は約60%多く、豊産性が認められる(図1、表1)。 果実の糖度は「大唐桑」よりやや低く、9Brix%程度である。しかし、酸味が少ないため、ジャムなどの加工用ばかりでなく、家庭用果樹として生食用にも適すると考えられる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「ポップベリー」は積雪地及び南西諸島を除く広い地域に適応するが、春の発芽が早いため、凍霜害の常襲地では適切な防除を行う必要がある。
- 本品種は大粒で豊産性の果実採取用桑品種として、地域活性化のための特産品の素材になり得る可能性がある。
- 桑果実に含まれるアントシアニンは、活性酸素消去能があることが知られており、今後果実成分について詳細な解析が進めば、機能性食品として本品種の果実の需要がさらに拡大する可能性がある。
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カテゴリ |
病害虫
遺伝資源
加工
桑
飼料作物
新品種
機能性食品
茶
品種
防除
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