イネのクロライドチャンネル遺伝子の構造と機能

タイトル イネのクロライドチャンネル遺伝子の構造と機能
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2001~2004
研究担当者 中村敦子(筑波大)
田中喜之
福田篤徳
発行年度 2001
要約 イネより酵母のクロライドチャンネル遺伝子GEF-1の機能を部分的に相補するOsCLC-1およびOsCLC-2をクローニングした。これらの遺伝子産物は、液胞膜およびprevacuoleと推定される膜に局在した。液胞膜型として同定された初めてのケースである。
キーワード イネ、イオン輸送、ナトリウム、塩素、クロライドチャンネル、塩ストレス
背景・ねらい 高塩濃度環境におかれたイネの細胞では、流入するナトリウムイオンをNa+/H+対向輸送体により液胞に集積隔離し、細胞質におけるNaイオンを低いレベルに保ち液胞における浸透圧を上昇し外界とのバランスを保っている。一方、細胞は電気的に中性を保たねばならないのでNa+と等量のアニオンを取り込む。イネをはじめ多くの場合、このアニオンは塩素イオンである。塩素イオンの膜透過に機能するのがクロライドチャンネルであり、塩ストレス条件におけるイオンの挙動を調節する上で重要な働きをする。イネよりクロライドチャンネル遺伝子を単離しその諸性質を明らかにした。
成果の内容・特徴
  • 植物のCLCファミリーと高い相同性を示すクロライドチャンネル遺伝子のホモログ(OsCLC-1およびOsCLC-2)をイネ(日本晴)より単離した。
  • OsCLC-1、および OsCLC-2は共に疎水性の高いタンパク質をコードしており、CLC遺伝子ファミリーに特有なコンセンサス配列を有していた(図1)。
  • 酵母において唯一のクロライドチャンネル遺伝子GEF1を破壊した株にOsCLC-1および OsCLC-2遺伝子を形質転換すると、 GEF1遺伝子の機能を部分的に相補した。これにより両遺伝子はクロライドチャンネル遺伝子と結論された。
  • OsCLC-1およびOsCLC-2にGreen Fluorescent Protein遺伝子を連結したものをタバコBY-2細胞およびイネ(日本晴)に形質転換し、遺伝子産物の細胞内局在性を共焦点レーザー蛍光顕微鏡で観察した。その結果、OsCLC-1およびOsCLC-2は共に液胞膜、prevacuoleと推定される小胞膜に局在することが明らかになった(図2)。
  • 成果の活用面・留意点
      OsCLC-1およびOsCLC-2が細胞内膜系に局在することがわかったので、その生理的機能を検討してゆく。特に、高塩濃度環境下における役割を明らかにしてゆく。
    カテゴリ たばこ 輸送

    こんにちは!お手伝いします。

    メッセージを送信する

    こんにちは!お手伝いします。

    リサちゃんに問い合わせる