ウシ栄養膜由来細胞株(BT-1)の樹立

タイトル ウシ栄養膜由来細胞株(BT-1)の樹立
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 橋爪一善
高橋 透
今井 敬
中野春男
嶋田 新
発行年度 2002
要約 ウシの着床および胎盤研究の in vitro モデルとして、ウシ胚盤胞の栄養膜細胞に由来するBT-1細胞株を樹立した。本細胞株は培養下で150代以上の継代が可能で、胎盤性プロラクチンファミリー分子やインターフェロンτを発現しているという点で胎盤のトロフォブラスト細胞の機能を良く反映しており、in vitroモデル系として有用である。
キーワード 栄養膜細胞、インターフェロンτ、BT-1
背景・ねらい 哺乳動物の着床や胎盤の研究においては in vitro胎盤モデル細胞株は極めて有用で、遺伝子のプロモータ領域の解析や組織工学的研究等には 欠かせないものである。しかし、利用できる細胞株は、ヒトあるいはげっ歯類の細胞株に限られており、しかもそのほとんどが絨毛癌由来の細胞であるために、着床形式が著しく異なる場合の外挿の可否や、癌細胞から得られた成績が生理的な機能を反映しているか否かについては議論の余地が残されている。
そこで、(1)ウシの胚盤胞の栄養外胚葉に由来する、(2)癌細胞でない正常細胞を起源とする、(3)in vivoのトロフォブラストの機能を再現できる、の3つのポイントから細胞株を作出してその特性を解析する。
成果の内容・特徴
  1. ウシ胚盤胞栄養膜細胞を起源とする継代可能な細胞株(BT-1)を樹立した。細胞は、2002年12月の時点において150代以上の継代を経ているが、今なお分裂増殖を続けている。
  2. BT-1細胞は、サイトケラチン陽性の単核上皮細胞によって形成される多細胞性小胞を培地中に放出する。この小胞をコラーゲンコートした培養容器で培養すると小胞は容器に接着・伸展して増殖する(図1)。
  3. この細胞株は、培養に際してフィーダー細胞を必要とせず。細胞の培養上清と10%ウシ胎児血清を添加したDMEM/F12で培養可能である(図2)。
  4. BT-1細胞は、ウシ胎盤性プロラクチンファミリー分子、妊娠関連糖タンパク質、インターフェロンτを発現しており、in vivoトロフォブラストの機能を反映している(図3、4)。
成果の活用面・留意点
  1. BT-1細胞は、正常細胞に由来する栄養膜細胞株であり、ウシ胎盤で発現するタンパク質の発現調節機構の解析や、胎盤細胞オルガノイド構築の素材として活用できる。特に生体移植実験等の場合には、同種の細胞を使う利点は非常に大きい。
  2. BT-1細胞は既に150代を超える継代を経ており、通常の樹立細胞が50~70代での継代で増殖を停止してしまう限界を遥かに超えているので、適切に維持されるならば、今後さらに増殖を続けることが期待される。
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