組換えカイコにおけるGAL4/UASシステムを利用した遺伝子発現制御系

タイトル 組換えカイコにおけるGAL4/UASシステムを利用した遺伝子発現制御系
担当機関 (独)農業生物資源研究所
研究期間 2003~2006
研究担当者 井上聡
今村守一
神田俊男
全国興
中井淳一
田村俊樹
発行年度 2003
要約 カイコに導入した外来遺伝子の発現制御系として、酵母のGAL4/UASシステムが有効であることが分かった。これは転写制御因子GAL4とその標的配列UASからなる遺伝子発現制御システムであり、組換えカイコにおいても前者の発現をコントロールすることにより自動的にUASの下流に繋いだ目的遺伝子の発現を制御できる。
キーワード トランスジェニック、組換えカイコ、GAL4、UAS、発現制御
背景・ねらい 組換えカイコの作出技術が確立され、効率よく目的遺伝子を導入することができるようになった。しかし、導入遺伝子の発現が安定しない等の問題点があり、その改善が求められている。そのため、酵母の転写制御因子GAL4とその標的配列UASを利用した発現制御システムを用い、組換えカイコにおける導入遺伝子の発現をコントロールすることを試みた。
成果の内容・特徴
  1. 標的配列UASの下流に緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を繋いだベクターpBacUAS-GFP(図1)を作出した。また、転写制御因子GAL4の上流に細胞質アクチン(A3GAL4)や眼での発現特性を持つ3XP3プロモーター(3XP3GAL4)を用いたベクターを作出した。
  2. UAS-GFPとA3GAL4遺伝子の両方を導入した組換え個体を作出し、蛍光の発現を調べた結果、全身でGFPが発現することが分かった。また、UAS-GFPと3XP3GAL4の場合では単眼や複眼でのみGFPの発現が見られ、転写制御システムが機能していることが分かった。
  3. 次に、後部絹糸腺でのみ発現するフィブロインL鎖遺伝子の上流をプロモーターとするGAL4遺伝子を挿入したベクターpBacLchain(FibL)GAL4/3XP3CFP(図1)を作出し、カイコに導入した。この系統とUAS-GFP遺伝子が導入された系統とを交配し、次世代におけるGFPの発現を調べた。
  4. FibLGAL遺伝子を持つ個体は単眼におけるCFPの存在により容易に同定された(図2、AとB)。また、FibLGALとUAS-GFP遺伝子を持つ1齢幼虫個体では、皮膚を通して絹糸腺においてGFP遺伝子が発現しているのが観察された(図2、C,D)。この後部絹糸腺におけるGFPの発現は、5齢後期にはさらに強くなり(図2、E)、肉眼でも絹糸腺が緑色を帯びていることが分かった(図2、F)。
  5. 以上の結果から、酵母のGAL4/UASシステムは組換えカイコにおいても機能し、導入遺伝子の発現制御に有効であると判断された。

図1

図2
成果の活用面・留意点
  1. 組換えカイコに導入した遺伝子の発現を容易にコントロールすることができ、実験が効率化される。すなわち、目的遺伝子をUAS配列の下流に繋ぐだけで、組織特異的に目的遺伝子発現させることが可能になる。
  2. 弱いプロモーターの活性を検出することが可能になり、カイコにおいてもエンハンサートラップラインを作ることが可能になる。
図表1 226373-1.jpg
図表2 226373-2.jpg
カテゴリ カイコ

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